勘と度胸とリテラシー先月、先々月と、わが国医学界における「統計学の貧困」に対する手厳しい批判の言葉を紹介してきた。ただ、ところが、丸山眞男がことに医学に限った話をしていたわけではなく科学全般、そして日本の「社会の型」について述べていたことからも分かる通り、問題は何も医学のみに限ったことではない。この点について、もうひとつ文章を紹介しよう。西内啓著、「統計学が最強の学問である」※の中にある1文だ。
たしか数年前、診療報酬改定のコンセプトについて尋ねられた厚労省の官僚が「勘と度胸だ」と答えたことがあった。お上の「勘と度胸」に振り回されないためにも、われわれの「統計リテラシー不足」克服が必要だ。
現場の実務者や専門家である研究者がその成果を実証せず、彼らの仕事を批判する評論家や政治家がろくに論文も読まず、無責任な意見を述べる。一方、彼らの仕事を評価すべき市民側にそうした現状への問題意識がない。
これらをひっくるめて「日本全体での統計リテラシー不足」と言うことができるだろう。
統計リテラシーがなければ、ビジネスの問題と同様に社会や政治に関する問題についても、経験と勘だけの不毛な議論が尽きることはない。※.西内啓:統計学が最強の学問である、ダイヤモンド社、2013年