IZUMINO-izm 17年07月号より
CIを公表するということ

当院では、2011年度からCI年報を発行している。あまり宣伝していないので、院内でも知る人は多くないのではと思うのだが、今年3月に発行したCI年報2015年版は、当院ホームページからダウンロードできるようになっている。つまり、今年から当院はCIの公表を始めた。これは実は、すごいことなのだ。

CI、臨床指標とは、医療の質や病院経営の質をさまざまな切り口から計測、評価するためのもので、客観的に評価できるよう、数値で表される。その多くは「割合」で表され、分子/分母で計算される。割合ではなく、「発生数」「算定数」のように単純にカウントされる指標もある。具体的には、病院全体の指標として患者満足度、平均在院日数、褥瘡発生率など。急性期から慢性期病棟の指標として看護必要度(急性期)、在宅復帰率(回復期、慢性期)、患者1人当リハビリ提供単位数(回復期)、身体抑制実施割合(慢性期)など。他に医療安全関連や感染対策関連の指標などもある。当院のCI年報2015年版のCI項目数は58項目にのぼる。

CIの公表は、近年は大学病院や公立・公的病院を中心に、かなり行われるようになってきた。だが、私の知るかぎり、当院のような中小の民間病院ではさほど行われている様子は、まだない。しかし、医療の公共性の観点から考えれば、公立病院-民間病院の違いとか、病院の規模の大小にかかわらず、そこで行われている医療の質に関する情報は、できるかぎり市民に広く提供されるのが望ましい。CI年報を5年間発行し、CI計測の実績をそれなりに積んできた当院は、そろそろ公表すべき時期に来ていた。

さて。当たり前の話だが、ホームページに掲載された以上、掲載されたデータは、全世界の人が見ることが可能だ。転倒転落発生率やその他のアクシデント発生率、褥瘡や身体抑制の発生率なども例外ではない。ふだんあまり自覚することがないが、実はわれわれの「医療の質」は「全世界から見られている」ということを、時々であれ、思い出し、肝に銘じていただきたいと思っている。


CI:臨床指標、Clinical indicator
CI年報2016年版は、近々発行予定です。


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