IZUMINO-izm 18年03月号より
オッカムの剃刀

約2年前(2016年1月)から、救急医療管理加算のレセプト注記の下書きをしている。下掲の通り、救急医療管理加算とは患者さんの入院時の病態によって算定できる-できないが決まる点数なので、算定できるケースの拾い出しとレセプトへの注記を診療情報管理室が行うことに合理性があると考えたからだ。診療情報管理室スタッフが担当患者のカルテを読んで同加算の拾い出しを行い、私が注記の下書きを書き、主治医が確認してレセプトを作成するというのが、作業の流れだ。

これまで私が書いた下書きは、この2月末時点までで計863件。このうちレセプト請求を行い、支払結果の判明しているものが799件。何らかのかたちで減点査定のあったものが57件。さしずめ、742勝57敗(勝率92.8%)といったところである。

さて。文章を書くときはいつもそうだが、とりわけこの注記を書くさいにいつも意識しているのが「オッカムの剃刀」という言葉だ。本来は、哲学や心理学、統計学で用いられる言葉だが、私は文章表現にも応用できると思っている。要するに、あたかもカミソリを使うかのごとく、無駄なものはバサバサ切って取り除け、ということだ。「けちの原理」とも言う。オッカムとは中世のスコラ哲学者ウイリアム・オブ・オッカムの名に由来し、これは「オッカム村のウイリアムさん」というような意味らしい。何となく、髭男爵の往年のギャグ、ヒグチ・カッターに似ている。

レセプトの査定というものは、医療機関と審査医との真剣勝負。こちらがダラダラと意味もなく長い注記を書いていたら、へたをするとバッサリ切られてしまう。だからできる限り簡潔に、しかし必要なことは要点を外さずしっかり書く。こうした技術が必要だ。

しかし、こう考えると、「オッカムの剃刀」が必要なのはなにも注記に限ったことではない。病院内外で書かれるあらゆる文書(インシデント・レポート、研究レポート、他)に言えることだ。いつも心にカミソリを! 皆さんに是非、お勧めする。


救急医療管理加算:
診療報酬点数表にある項目の1つ。入院基本料に対する加算で、緊急入院した重篤な患者の入院時の状態が一定の基準(吐血、脱水、意識障害、呼吸不全、心不全、ショック、緊急手術を要する状態、等)に合致する場合、入院初日から7日間を限度として算定できる。


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