IZUMINO-izm 18年06月号より
認知症と身体抑制

週刊医学界新聞第3252号、同第3274号に、身体抑制最小化の取り組みを紹介する興味深い記事が載っている。記事によると、精神科病院における身体抑制は10年余りで倍増している。その背景として、身体的治療を要する高齢者や認知症患者の増加が指摘されており、急性期病院も同様の課題を抱えているのだという。

認知症と身体抑制の関係ということでいえば、当院にもデータがある。当院は昨年から緩和ケア病棟を除く4病棟で認知症ケア加算を算定しているのだが、同加算は「身体拘束あり」の場合と「身体拘束なし」の場合で点数が異なるので、これらの算定件数をカウントすることにより、各病棟における同加算の算定率(つまり認知症患者の割合)とともに、同加算算定者に占める「身体拘束あり」の割合というデータが容易に得られるのだ。2017年度の同加算の算定率は、4病棟合計で34%、同様に、同加算算定者中「身体拘束あり」の占める割合は41%となっている。

さて、冒頭で紹介した記事に戻る。身体抑制増加の背景として、認知症患者の増加がある。認知症患者が増加すれば、身体抑制増加はある程度致し方ない……。それは一面正しいかもしれない。だが、逆にこうも言えるかもしれない。

認知症が抑制を必要とする原因なのだとすると、認知症ならではの患者へのアプローチ方法によっては、抑制が減らせるかもしれない、と。
紹介した記事は、このように示唆しているように思えてならない。事実、たとえ急性期病院であっても、記事のように身体抑制最小化の実績を生み出している病院はあるのだ。「大学病院だからできるんでしょ」「人員が豊富だからできるんでしょ」というご意見もあるかもしれない。だが、どんなに条件が異なろうが、かの取り組みから少しでもヒントが得られれば、それに如くはない。
認知症ケア加算算定率:分子)認知症ケア加算算定延べ数、分母)対象病棟の延べ入院日数
参考)同加算算定対象患者:「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」でランクV以上の患者

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