施設基準は大事東京オリンピックの後、2020年の年末に私は定年を迎える。これを見すえ、それなりに専門的なノウハウを伴う実務については今のうちに後進に託そうと、世代交代を進めている。その1つが、先月の本欄で書いた診療情報管理業務。もう1つが、施設基準管理業務である。
施設基準は保険診療とは切っても切れないものであり、病院ではあまりにも当たり前に存在してきたものなので、「施設基準とは?」などと改めて考えたりなどしていない方が多いのではないだろうか? その一方で、当院では届け出た施設基準の数が2001年開院当時は20ほどだったが、現在では68に達し、遵守状況の管理には膨大な作業が必要になってきている。また、各施設基準が定める要件についても、人員配置や施設設備などのストラクチャー指標中心から、近年は入院患者の疾患別構成、緊急入院患者数、医療・看護必要度、医師・看護師の負担軽減計画、褥瘡発生率、在宅復帰率、FIM実績指数などプロセス、アウトカム指標重視へと変化してきている。繰り返し言うが、これらの管理って本当にたいへんなのだ。
さて。このようにたいへんな業務を、病院はなぜ行わなければならないのだろう? その直接的な答えはもちろん「点数を算定するため」である。診療報酬点数表では、基本的な医療サービスのいくつかや、同種のサービスでもより高価格のサービスのいくつかに施設基準を設定している。医療機関がそのような点数を算定しようと思ったら、その施設基準が求める要件を満たし、厚労省へ届け出なければならない。
一方、厚労省視点から見ると、厚労省が様々な施設基準要件を設定し、医療機関にそれを守らせることで、厚労省は医療サービスの品質保証を行うことができるのである。つまり、医療機関が施設基準を守ることとは、自らが提供する医療サービスの品質を守ることに等しい。
これら2つの意味で「施設基準は大事」なのである。