IZUMINO-izm 19年09月号より
目的意識性

病院のような一事業所の経営にしろ、何らかのプロジェクトにしろ、成功のために重要なのは単純なことだ。つまり、ゴールと定めた目標の実現にとって重要なこととそうでないこととを分け(これをプライオリティという)、重要なことについては何としてもやり遂げようとする強く、持続的な意志を持つことである。これを目的意識性という。

ロシア革命100周年の2017年前後から、私はロシア革命や革命に影響を与えたマルクス主義に関連する書籍をけっこう好んで読んでいるが、そうした書籍の中に意外とマネジメント指南のビジネス書感覚で読めるものがある。何せ、革命などというものは、つまりは巨大なプロジェクトなのだから当然だ。革命を指導したレーニンなどは、さしずめカリスマ経営者である。レーニンと並ぶロシア革命二枚看板のもう一人であるトロツキーによれば、レーニンにとって目的意識性は「彼の精神的本質を構成していた」とのことである。そのレーニンは、「鎖と環」の比喩を用いて、次のように述べている。

政治生活全体は無限につらなる環からなる無限の鎖である。政治家の全技術は、その鎖の中で一つの環を、すなわち、手から叩き落されるおそれが最も少なく、当面の時期にとって最も重要で、それをつかんでさえいれば最も確実に鎖全体を押さえることができるそういう環を見出して、それを固く固く握ることである。
文中にある政治生活、政治家の言葉を経営、経営者ないしはプロジェクトリーダーに置き換えても、まったく問題ない。 さて、再びトロツキー。こうも書いている。
このような事業を開始し最後までやり通すためには、強力な目的意識性のいっさいを必要とした。レーニンは弓の弦をぎりぎりまで、限界まで引きしぼり、どこか弱いところがないか、切れそうなところはないかを調べた。 「そんなに引きしぼってはならない、弓が壊れてしまう!」と四方八方から人々が叫んだ。 「いや壊れはしない」、と弓使いの名人は叫んだ――(中略)「弦をもっともっと引きしぼらなければならない。なぜなら、重い矢を遠くまで飛ばさなければならないからだ!」

参考)トロツキー:レーニン、森田成也訳、光文社古典新訳文庫、2007年

mailto:agrito@mb.pikara.ne.jp