IZUMINO-izm 19年12月号より
地域医療と楕円球

本年11月、ラグビーW杯日本大会は成功裡に終了した。大会中は世間の多くの人と同様、私もTV観戦を楽しんだ。だが、商売柄、そうした時でもついついゲームを地域医療になぞらえて観てしまうのだった。

例えば。病状がどちらへ転ぶか分からない楕円の球は患者さんである。その患者さんを取り扱うチームメンバーのうち、重量級がそろうフォワード陣は、地域医療の中では重装備型の病院に相当する。中でも最前列(背番号1〜3番)はさしずめ救急外来といったところか。また、スクラムのまわりをウロチョロし、ボールを出したり入れたりするスクラムハーフ(背番号9番)は地域連携スタッフ。同様に、フォワード-バックスのつなぎ役で、しばしばチーム全体の司令塔となるスタンドオフ(背番号10番)は、地域のかかりつけ医。快足を飛ばし、グラウンドを縦横に走り回るウイング(背番号11、14番)は、訪問系のクリニックか、訪問看護ステーションのナースたちである。

反則もなかなかに示唆的だ。ノックオンは転倒転落事故。適切な患者紹介ができず、自院に抱え込んでしまうミスはノットリリースザボール、などなど……。

もっとも、当の楕円球は言うかもしれない。俺たちを蹴ったり、投げたり、奪いあったり。いい加減にしてくれ、と。


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