夏時間の Tomoko in Her BathTomoko in Her Bathは、ユージン・スミス、アイリーン・スミス共作による写真集「MINAMATA」の中の一枚。水俣病を扱った写真の中で、おそらく世界で最も有名な写真である。
描かれているのは、胎児性水俣病患者上村智子さん(1956-1977)とその母良子さんの母子入浴の図。入浴シーンなので、当然のことながら、それを撮るにせよ、さらにそれを世に出すにせよ、被写体となった家族は相当な決意があったはずだ。そして写真家との信頼関係も。
ユージン/アイリーン夫妻(当時)は、この時、水俣に移り住み、当地で生活しながら写真集「MINAMATA」制作にあたった。以前、TVで観たのだが、ユージン・スミスはTomoko in Her Bathの作業(現像とか?)をしている間、ジャニス・ジョプリンが歌う、子守歌の名曲「サマータイム」(曲:ジョージ・ガーシュウィン、詞:デュボーズ・ヘイワード)を作業場に流していたという。
私もジャニス・ジョプリンのCDを持っており、「サマータイム」を時々聴くが、このエピソードを知って以来、「サマータイム」とTomoko in Her Bathとは、私のイメージの中で完全につながり、離れなくなってしまった。この曲を聴くと、いつも母子の姿が浮かんでくるのだ。
以下、「サマータイム」の拙訳(意訳を含む)である。
サマータイム 人生なんて楽勝
おさかな跳ねるし 綿の木育つ ぐんぐん育つ
父さん金持ち ママ美人 今でも美人
だからベイビー 泣かないで
No,no,no,no 泣かないで
ある朝 お前は立ち上がり 歌い始める
翼を広げ お空を高く上がってく 高く 高く
その朝がくるまで
誰にもお前を傷つけさせたりしない
だから No,no,no,no 泣かないで
- 参考)土方正志:「ユージン・スミス ―― 楽園へのあゆみ」、2006年、偕成社
- Tomoko in Her Bathは、「もう智子を休ませてあげたい」という彼女の両親の希望により、現在あらたな印刷物の出版はなされていない(ただし、このほど再版された写真集「MINAMATA」では、この写真が再掲された)。