We've Only Just Begun (愛のプレリュード)DPCは医療費の包括支払制度として理解されがちだが、そうではない。DPCとは「医療費包括支払制度としても使うことのできる患者分類の仕組み」であり、DPCの使用目的は医療費支払のみではない。調査、分析等、さまざまである。わが国へのDPC導入という事業は「医療情報標準化のためのプロジェクト」であった。
なので、DPCを導入した病院が「DPCデータ」等を用いてCIやQI注1を計測して医療の質、経営の質を評価し、改善活動に用いたり、同じ指標を用いて多病院間で比較するベンチマーク事業に参加したりするのは必然であった。否、むしろ、医療機関にとってのDPC導入の目的は、そこ、すなわちいわゆるCQI注2にこそあった。当院も同様である。注3
当院がCI/QI測定の活動を始めて間もない2013年、その活動立ち上げの報告を私は2つの学会注4で行ったが、このときパワポの最後のスライドに書いたのが「We've Only Just Begun」という言葉だった。直訳すると「私たちはまだ始まったばかり」。カーペンターズの同名のヒット曲(邦題:愛のプレリュード、1970年)にあやかったのだ。
カーペンターズはリチャード、カレンの兄妹デュオで、1970年代を中心に世界的に人気を博した。ご存じの方も多いと思う。ことにカレンのアルトの歌声は素晴らしく魅力的で、もし私が「あなたのディーヴァ(歌姫)は誰?」と問われたら、私はいまでも迷わず「カレン」と答えるだろう。「愛のプレリュード」は、もともとは銀行のCMソングだったが、リチャードがアレンジしてカバーし、世界的ヒットになったのだという。
だが、1983年2月4日、カレンは摂食障害がもとでこの世を去った。彼女の死は、摂食障害がときに死にいたる油断ならない病であることを、衝撃をもって世界中に知らしめた、おそらく最初の例である。
さて。私がスライドに「We've Only Just Begun」と書いてから9年あまりが経過した。私たちはあの時からどれくらい、歩みを進めることができただろう…?
注1)CI(Clinical Indicator)、QI(Quality Indicator):ともに品質指標を指していう言葉
注2)CQI(Continuous Quality Improvement):継続的質向上
注3)2006.7.27の医師-部署長合同会議におけるプレゼンで、私(いとえー)は「当院へのDPC導入の目的はCQIである」と述べた
注4)第11回日本医療マネジメント学会 高知県支部学術集会(2013.8.18)、第39回日本診療情報管理学会学術大会(2013.9.5)