IZUMINO-izm 24年6月号より
私の修業時代

私が最初に病院に就職したのは1984年、今年はそれから40年になる。来高し、梅ノ辻クリニックの前身である長尾病院に入社したのが1995年。その前の関西在住時代に病院2箇所、有床診療所1箇所を経験している。

この40年間、私の基本的なアイデンティティは「医事系事務職員」だったが、キャリア前半で勤務した病院がいずれも100床あまりの民間ないし3セクの小病院だったこともあって、職場では医事系と総務系の分化はあまりなされていない場合が多かった。有床診療所時代は言わずもがなである。

なので、通常の医事業務(受付、会計、レセプト、医事当直など)以外にも、実に多彩な仕事を経験した。用度、院内印刷、防火管理、蒸気ボイラの保守、訪問診察の運転手。給食食材の買い出しに卸売市場へ行くこともあった。患者が入院時に持ち込むTVのアンテナ線接続なんてこともよくやった。それにホットパックづくりなどの物療補助。さらに、微妙な、すなわち資格上の問題を含むが、調剤やレントゲン撮影にも関わった。振動病の出張検診に行けば、会場設営、問診に加え、検査の助手も務めた。もちろん、医療機関では無資格者が行ってはならない業務が当然ある。だが、私の印象では、昔の医療現場、ことに小規模医療機関は今と比べ、法令コンプライアンスの意識が随分と希薄だったように思う。当時の私も、コンプライアンスからの多少の逸脱は正直、あった。具体的に書くことはできないが、本当に色々なことをやっていた。

さて、今日では、かかるコンプライアンス違反はむろんNGだが、それでも医療現場の中で発生する多彩な業務に触れ、経験し、病院という社会の隅々まで知ること自体は、医療安全上などの問題がない限り、経験する本人の成長にとっては有益なことだと思う。これは、私自身の体験をふまえ、しみじみ感じる実感だ。

ふり返って、当院の今の事務系職員諸君を見て思うのだが、職員各々の役割がけっこう固定している印象があり、私の場合とはずいぶん違うなと感じる。これはこれで良いかとも思うのだが、適度なローテーションを設ける工夫があっても良いのではないか。第一、多彩な現場を経験するということは楽しいことなのだ。


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