これだ! と思うこと私の病院事務屋稼業ももう41年になる。病院で働くと決めた時も、その後の40年も、私は基本的に行き当たりばったりで過ごしてきた。働きはじめた時は、こんなに長く病院業界にいることになるとは思っていなかった。だが、そんな私でも、これまで何度かは「これだ!」とか、「これが私の生きる道だ!」とか、強いひらめきのようなものを感じたことがある。
その一つは、2001年か2002年、いずみの病院が開院して間もない頃、診療情報管理士養成の通信教育が新カリキュラムで開講するという雑誌記事を見たときだ。記事には、診療情報管理という業務が、病院において医療の質を下支えしていること、説明/同意やカルテ開示など、患者の権利と深く関わることなどが書かれていた。記事を読んだ瞬間、私は「これだ!」と思った。いずみの病院に診療情報管理の機能を確立することが私に下された天啓であるかのように感じ、そのためにはまず私自らが通信教育を受講して、知識を身につけなければと思ったのである。受講料は安くなかったが、家計から出してくれるよう、意を決して妻におねだりしたら、意外とあっさりとOKをくれた。かくして当院の診療情報管理室開設への道が開けたのだった。
もう一つは、2005年か2006年、当院がDPC導入に向けた準備を始めた頃、DPC開発者である松田晋哉氏の講演を聴いた時のことだ。DPCは当時の医療界では医療費の支払方式のことと理解されるきらいがあったが、それは間違いである。DPCとは患者を疾患と処置でグループ化する、標準化された患者分類法なのだ。松田氏は講演で「DPCプロジェクトは医療情報の標準化プロジェクトである」「DPCを使えば病院間比較が可能になる」「DPCが病院にもたらす最も重要な影響はマネジメント技術の集積と向上である」と語った。この時、私はまたも「これだ!」と思った。以降、当院のDPC調査への参加、DPC対象病院化、そしてDPCを用いた様々なマネジメント、QI/CI活動へと邁進することになる。DPCを取り扱う様々なテクニックを身につけたことは、私自身の強みにもなったが、それは同時に当院にとっても強みになったのだと思う。
こうして見ると、私はけっこう直感のようなものに左右されて物事を決めている感がある。それが正しかったかどうかはよく分からない。だが、これだ! と思い込み、思い込んだ道を進むのは楽しいものである。皆さんは、これまでどんな「これだ!」に出会いましたか?