第3次 震災ボランティア報告

 
鐘ヶ江洋子(久万教会)
   
 昨年125日~9日の間、東北被災地支援に参加。貴重な体験を経験させていただき、心より感謝いたします。

 私は10月に仙台、石巻、女川などの被災地を仙台在住の知人に案内されて見て回りました。鉄筋コンクリート3階建てのビルが根こそぎ横倒しになっている光景や、かつては建物が立ち並んでいた町並みが荒涼とした更地になった風景を前に茫然と立ちすくんでしまいました。そんな記憶があせないうちに今回のボランティア派遣のお誘いを受けました。高齢者の仲間入りをしている自分にできることがあるのかとの不安を抱きつつ、参加しました。しかし現地に行けばなんとかなるものですね。
 3日間を通して同じお宅でのワークをしました。仙台市郊外七郷地区の大きな農家。泥をかぶった食器洗い、庭掃除、ガラス戸洗い、カーテンの洗濯などの軽作業です。大家族のお宅らしく、庭には子ども用の遊具、子供向けの食器など。この家に再びにぎやかな声が響くのはいつになるのだろうと思いを巡らせながら作業を続けました。
 3日目には男性軍7~8人が母屋の屋根の上に登り、庭ほうきや手で泥にまみれ雑草も生えている瓦や樋の掃除をされました。瓦は地震で浮き上がっており、足元は不安定なところでの手作業です。高速洗浄機をドイツから100台届けたと知り合いから聞きましたが、石造りの建物ではない日本家屋では、残念ながら役にたたないようでした。現地に行かないとわからないものです。
 同じ教会員で10月に参加された方から、センターから被災地まで10キロ以上自転車をこいで通うのだと聞いており、それだけな無理だなあと思っていたのですが、幸い冬季は車の送迎になると知ってホッとしました。最初のオリエンテーションで聞いたところによると、被災者のところに自転車をこいで(10キロ以上?)通うことには意味があり、ボランティアも苦労しながら被災地に通うことで、被災者の方と少しでも思いを共有できるのではないかと考えたとのこと。なにもなくなった土地をエマオの自転車隊が通う風景は、目立つ存在なのですね。毎日自転車で通う繁華街の銭湯でも「エマオの人ね」と話しかけてくださる常連さんがいて、仙台の街中でも活動が知られているらしいとうれしくなりました。

 最後に東北教区被災者支援センターについて。

 全国だけではなく外国からもさまざまのボランティアを受け入れ、コーディネイトされている若いスタッフの皆さんには本当に感銘を受けました。センターの立ち上げのときは全く手探り状態であったのではないかと想像されるのです。様々な環境の若者たちがこれまでの活動を通して変わっていったとのこと。大原則は被災者の思いに寄り添うこと。その経験の蓄積の結果、ワークの取り組み方にも顕著に表れています。また初めて会ったボランティア同士の人間関係をフラットなものにしてくれています。相手の話を徹底的に聞いて否定しないシェアリング、初体験のボランティアの意見も真摯に聞くミーティング、そのあと手をつないでの祈りの時などなど。年齢や属性(職業、クリスチャンとそうでない人など)を超えたフラットな関係が気持ちがよい。またボランティアに来たいという方が多いのもうなずけます。
 ご一緒した西東京教区のかたはセンターが続く限りボランティア派遣を継続すると言い切られていました。遠隔地の四国からは難しいけれどもそれだけに意味があると思います。細く長くどこまで継続できるかが課題ではないでしょうか。今キリスト者がしないで誰がするとの思いを強く持ちました。

 お世話になった皆さま、支えてくださった皆さま、本当にありがとうございました。


「エマオへの道・四国」
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