第十一次ボランティア(期間 2013年3月24日~31日)からの速報が、
 メーリングリストに、逐次アップされています。
 以下は、それを転載したものです。
 
 まとめて読みやすいように、古いものが上にあります。
 
《第1回報告》
報告日時  3月25日16時53分
報告者  山本有紀
エマオ四国のみなさん、東雲の山本です。
仙台エマオでの初日、終わって帰投しました。 

今日は曇り空の寒い一日でしたが、群馬の新島学園から11+教員お二人、山梨英和の女子高校生が19+教員お二人の団体さんが賑やかなうえに、桜美林大学、また幼稚園の先生方のグループ、そして個人参加の方々、と大所帯のワークデイとなりました。

これからワーク終了後のミーティングです。

東雲からの三名の学生は、今日は一日目、切り倒された木の根っこ掘り、私は、新島学園の男子と一緒にビニールハウス解体作業。 

兵庫教区から、長田センターの柴田主事もこられています。 

では、ミーティング、そろそろ始まりなすので、取り急ぎ。

《第2回報告》
報告日時  3月28日16時40分
報告者  山本有紀
松山東雲の山本有紀です。

324日日曜午後に松山を出発し、29日まで、3人の学生が仙台で震災被災者支援ボランティアの活動に取り組んでいます。いまのところ体調不調もなく、怪我もなく、順調です。感謝。

私は24日より、昨日27日までワーク参加。今日は松山で早速仕事です。

また27日から松山帰着までは、食物栄養専攻で、来年度キリスト教センターの副センタ長を担ってくださる大塚先生が、学生と一緒にワークに参加しています。

今回のボランティア参加は、私が学生と一緒に活動に入ってしまった
ために、前半の報告が遅くなりました。24日出発から、昨日、私が帰途につくまでのところで、以下にまとめて報告いたします。

24日は午後に松山を出発、夜には仙台について、月曜朝745集合でのワーク開始にそなえました。

25日、早朝、東北教区センター「エマオ」にてボランティア登録し、朝のミーティングに参加、早速自転車で片道約50分の道のりを、七郷地区(津波の被害が一番大きかった荒浜地区のすぐ背後の農業地域)へとワークに向かいました。
今週は、群馬県・新島学園高等学校から、教員引率二名を含め13名、山梨英和女学院高等学校からは、引率教員二名と共に、19名の、YWCAと聖歌隊メンバーが団体でワークに来られ、大賑わい。これに、桜美林大学から5人、京都・同志社高等学校から(先生には言わずに友達と申し合わせて)3人、また茨城・水海道教会附属双葉幼稚園の先生方が園長先生(加藤牧師)と一緒に6人、東京世田谷からも教会附属の幼稚園の先生4人、個人参加としては、北海道酪農学園大学より一名、在日大韓・大阪教会から二名、教団・東梅田教会より二名など、全国から学生・社会人・シニアが集結し、なんと60名を超え る大きな規模のワークキャンプの一員として最初の2日は活動することになりました。
また奇遇といえば奇遇。27日から29日まで、夕食調理のボランティアにこられた、甲府からのご婦人二名の内のお一人が、城東教会の寺島牧師のご母堂でした。

作業のほとんどが、農作業のお手伝いです。山本は、新島学園の高校生と引率の小栗先生(聖書科・牧師)とご一緒に、ビニールハウス3棟の解体に2日間打ち込みました。先回もビニールハウスの解体をやりましたので、今回はまずまずコツも得て、無事に責任を終えました。

学生三人(秘書科1年・二宮美南さん、宮本知加子さん、国際文化3年・金 延修さん)は2つのサイトに分かれてワーク。

二宮・宮本は、Sさん、という高齢
の方のお宅で、庭の手入れ、殊に、塩分で枯れてしまった柿木を切り倒した後の根を掘り起こす作業をする一方、「話を聞いてほしい」というご要望に応えて、のワーク仲間と一緒にSさんのお話をひたすら聴くことに。
Sさんは、自分と飼い犬の「ごんちゃん」のふたりっきりで地震と津波を
生き延びられた方なのですが、そのたったひとりの家族である「ごんちゃん」が、もう老衰で余命いくばくもありません。だんだんと弱っていくごんちゃんを看取る、ということがSさんには本当に辛く、ごんちゃんが飲食できないと自分も食欲もない、と言う状態を目の当たりにして、大きなショックをうけたと、一日目、二日目のワークの後の「シェアリング」で宮本さんが話していました。

「被災」ということについて、311日に地震と津波で「被災」した後は、どんなにゆっくりでもあとは「復興・回復」している、そのお手伝いに行く、と考えてやってきた仙台で、「被災生活」はずっと続いていること、そして、時間が経てば経つほど、地震の前に、生活基盤が不安定であった人たちが、どんどん取り残され、「被災」はむしろ「深まる(深刻化する)」ということを、Sさんとごんちゃんの日常に触れさせていただくことでリアルに、そして大きな衝撃と共に、とらえているようです。

金さんは、山梨英和の高校生たちと一緒に、同じ、「S」さんなのですが、
別のお宅で、今度は塩分でダメになった笹林を刈り取った後の根をほりおこして取り除く作業に出かけました。67人が、一日汗水して、時にスコップが折れたりするほどの頑固な笹の根と格闘しても、なかなか、作業を終えることは難しい。もとは暴風のためにあったはずの笹や竹が枯れてしまうこと、そして、その「後始末」は、今、稼働している畑を必死で再生しながらではとてもできないこと、そうした「小さな」仕事が山のように、被災した方々の生活には積み重なっていて、だれかの協力がなければ一日、一日前へは進んで いけないこと・・・高校生たちと様々なレベルの「異文化コミュニケーション」を試みながら、金さんも思うところは多いようです。

二日目、26日には、二宮・宮本は、スタッフに連れていただいて、荒浜までエクスポージャーに出かけています。
小学校の三階にいても膝までつかる
ほどの津波が打ち寄せた荒浜は、本当に何もありません。しかし、新たに建立された慰霊塔があり、そこには亡くなった方すべてのお名前と、亡くなった時の年齢が刻まれていました。私は、自分と同じ年代の女性が沢山おられることに複雑な思いになりました。
学生たちは、まだ小さい子どもたちも沢山
命を落としていることを知って、涙を流していました。
土台だけになった自宅
跡に黄色いハンカチをつなげた旗を立てて、必ずこの場所に帰ってきてまた生活を立て直したいとの 願いを訴える様子は、海を背にして荒浜の風景に臨むと、遠景に見える仙台市内の高層ビルの輝きとあまりに対照的です。

山本は27日は飛行機の時間まで、朝は中央公園の仮設住宅でラジオ体操と「お茶っこ」に参加、荒浜の津波を生き延びたおばあちゃんたちとしばしの時間をともにしました。この仮設住宅には、約60世帯の避難家庭がくらしておられますが、独り暮らし、或いは高齢者お二人きりのところの割合が高くなっています。
26日には、「朝起きて、連れ合いが起きてこないので見たら
亡くなっていた」という連絡が「エマオ」の被災者支援センターに入り、その翌日のことでしたので、ご葬儀の段取りが進む中での訪問となりました。
おばあちゃんとのおしゃべりは、しかし、どうしても被災の体験と、その後の生活のはなしになります。この3月末に、「被災者支援医療費減免(医療費全額免除)期間」がおわるそうです。被災の度合いによらず、すべての被災者に医療費減免が二年間適応されていたが、それが今度は、被災の度合いに拘わらずうちきりとなる、という知らせに、荒浜のおばあちゃんたちは、胸が収まらない。「なんにもなくなってしまった者と、ちょっと壊れたけれども家は修繕して仮設から出て行けるような人とは【医療】の必要が違う。医療費援助一律打ち切りは平等なのか?」という訴えに、頷くほかには何もできませんでした。

「傷ついた葦を折ることなく、暗くなった灯心を消すことなく」正義を実現される方にならう私たちは、この訴えに対して無関心でいることはできません。「被災者支援」の働きは、本当に、大きく発想の転換を必要とする局面を迎えている、と言うことだと思います。

本当に、「被災者支援」の方法や形が大きく変化しています。仙台の街の中中心部は「地震があった町」だとは分からないくらいです。しかし、町から離れると、様子は一変します。生活の端々に、小さいけれども、沢山の被災の痕跡があって、それを丁寧にほぐし、整えていくことが、「エマオ」を拠点にするワークに求めらていると、一年振りにワーク に参加して実感しました。また、「復興は終わった」と言わんばかりの政策転換のなかで、時間が経つほどに「取り残されて」行く人たちと、最後まで一緒に「スローワーク」を担い続けるために、今まで以上に「話を聴く」こと、そして聴き取ったことから本当に必要な行動を起こしていくこと(それはむしろ、被災地に赴かなくてもできることになってくるかも)が求められてくるのだろうと考えます。

学生の後二日の働きのために、また、引率しつつ、ご自分もワークに参加しておられる大塚先生のため、どうぞお祈りください。
27日のワークについては学生3名より、単信が届いていますので、別便で送信します 。また本日のワークについては深夜にレポートがとどきますので明日にでも。

受難週の歩みも洗足木曜までやってきました。今夕、礼拝のために準備をされている皆さん、どうぞ豊かな分かち合いと黙想の時となります様に。
また受難日の礼拝、そして復活主日の礼拝を準備し、そのために労をされているすべての奉仕者の皆さんのため、そのご準備とささげものの上に主の祝福を祈っています。

「エマオへの道・四国」
〒791-8031 松山市北斎院町58-3 日本キリスト教団さや教会内
emaoshikoku@gmail.com