私たちとご先祖様
一本の木があります。木は葉から大気の炭酸ガスを吸収して枝幹を通して根に送ります。すると根は活力が
与えられ、土中の水分をしっかり吸収して枝幹そして葉に送りこれを養います。
私たちとご先祖様の関係を樹木に例えると、ご先祖様は目に見えない世界である土の中の根にあたります。
私たちは目に見える世界にある木の葉です。私たちとご先祖様の血は枝や幹を通して見える世界と見えない
世界の一本につながっています。私たちがこの世で善根を積みご先祖様に向けると(追善供養)、ご先祖様は
良い影響を受けます。するとご先祖様が次に私たちに良いお返しをしてくださいます。私たちの善根はご先祖様
を巡って私たちに恵まれることになります。
お盆とは
お盆の由来のお話は知っておられる方も少なくないとは思いますが、お釈迦様のお弟子である目連尊者が
亡き母を餓鬼の世界からお救いするためにお釈迦様の教えにもとづき、修行僧の夏安居(げあんご)が終わる
自恣供養の七月十五日に修行僧に百味の御食を供養して法要を行いその威神力を借りて母を救うというお話から
仏教の教えと祖先崇拝の思想とが結びついて行われるようになったものです。
お盆の迎え方
◆ お寺に盆供養の依頼をします。初盆のお宅は8月14日に各お家に棚経に回ります。お家を回る順番は
お寺よりお知らせいたします。(真菰を敷いた昔風の造りは最近見かけなくなりました)
◆ 提灯・盆棚などを用意します。盆棚は法事などで使われれる祭壇と同じ要領にして、中央に新仏様の
お位牌を安置します。
◆ お供えものとしてキュウリやナスを賽の目に切り洗い米にまぜたミズノコを芋や蓮の葉にのせます。
迎え団子は故人の霊を守る十三仏様に供えるため十三個(数に諸説あり)を盆棚に供えます。その他、
季節の果物やお菓子、お茶などをお供えします。昔の盆棚のつくりは里芋根付、ホウズキ、こんぶ、
ソーメンを吊り下げてお祀りします。
◆ キューリとナスに麻幹を差して馬・牛を作ります。ナスの牛に荷物を持たせキューリの馬に乗って
ご先祖様が帰ってくると云われます。お盆の前はこれを内向きにお盆の終わりは外向きに置くと
伝えられます。
◆ 道しるべとして提灯を軒先に吊るします。初盆の年と翌年は7月31日〜8月31日、3年目は7月31日から
8月15日まで吊るします。初盆のお宅は事前に提灯をお寺にご持参ください。故人の戒名や経文などを
書き入れます。
◆ 8月13日までにお墓のお掃除をします。初盆を迎えるお家はお墓の前に108個の小石を四角状に並べます。
石はお盆過ぎてもそのままにしておき自然に拡散するようにします。
◆ 最近はあまり見られないのですが、13日朝から15日夜までお墓と庭の隅に精霊棚(水棚)を立て
お祀りします。
◆ 13日は午前中にお墓参りに行きます。夕方に玄関先にてオガラを燃して迎え火とします。
オガラの長さは揃ってなくても良いのですが108本の本数とします。
◆ お盆の間は盆棚に灯明・お線香を行います。本来、お盆の間は三度三度お霊膳を作り変えますが、
生活が多様化しており困難な場合もあります。その場合はお盆の間に一度でも良いので真心を込めて
作って差し上げてください。お盆中は毎日朝晩きれいなお水をお供えしてください。
◆ お盆が明ける16日の午前は最後のお供えをし、夕方に送り火を燃してご先祖様をお見送りします。