潮位観測の根拠
日本地震学会発表論文
2018年度: 「歴史から学ぶ」南海トラフ地震と潮の狂いの関係
1.一般宏観現象と潮の狂いの違い
根拠
- 潮の狂い(異常潮位)は、現在の潮位および潮位偏差の推移を最新の観測機器を用いて測定できる。 これらの記録を保存し再生することができる。
- 潮の狂いは、発生時から地震が起きるまでの数日間(宝永27日、安政20日)、 リアルタイムで観測、分析できる。
- 潮の狂いは、多くの人が長時間、現場で観測し目視できる利点がある。
- 歴史上の南海トラフ地震で判明しているだけで6回(昭和南海、昭和東南海、安政、安政東海、宝永、正平)、 そして相模トラフで元禄地震、関東大地震の2回、いずれも地震前に同様の潮の狂いが発生している。 同時に3.11を含め全国のM7前後の海洋型巨大地震12回で同様の潮の狂いが発生している。 (別紙参、計20回)上記の事例から全国の地震にも適用可能と思われる。
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地殻変動と潮の狂いの原因
昭和南海地震が起きる数日前から地殻変動が発生したことは下記の事由で推測できる(現在の科学では未解決)。 昭和南海地震の場合、四国太平洋沿岸部は高低差3m前後の緩やかなシワ状に 地盤変動が起きたことが考えられる。 シワの尾根が退潮港19港が「隆起」にあたり、非退潮29港が「谷」にあたる。 シワの高低差、傾斜角度は約1000~2000分の3mと推測する。(潮位偏差3m) シワの原因は本震前に「地殻変動」が起きたことにより、 海底地盤や沿岸部が「地盤変動」を起こしたことが考えられる。 これらの外圧により、潮の狂いが発生した。
潮の狂いとは
- 潮の干満は月、太陽の引力により6時間毎のサイクルで推移している。 このサイクルが一時的に大きく乱れることを、昔より潮の狂いと言う。
- 海水は「外圧」を加えなければ「流波動」しない性質から考察すると、 潮が大きく狂った原因は「大きな外圧」が加ったことを意味している。 その「外圧」とは地殻変動を指している。
地殻変動と潮の狂いは相関関係にある
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潮位偏差は時間経過と共に「エスカレート」している。
このことは、地殻変動そのものが拡大進行していることを意味し
地震が緊迫していることを意味している。
* 昭和南海地震が起きる直前、11時間の間「異常干潮」が継続して起きていたことは
地殻変動が11時間静止していたことを意味している。
● 来たるべき南海トラフ地震の直前に起きる潮の狂いの「発生確率」は
全国20回の事例から考えて、極めて高いといえる。 -
今後、潮の狂いを観測キャツチすることにより、南海トラフ地震の直前予知は可能と言える。
● 上記の事例を検索することにより地震発生の最重要項目である「いつ」の特定が可能となる。
(別紙図参考) - 以上の事例から、通常の宏観現象と潮の狂いの相違が判別できる。
対策
南海トラフ地震の記録、仕組みを後世に残すために、確実な潮位観測が必要であり、 そのためには太平洋沿岸部に数多くの潮位計の設置と観測体制が望まれる。
臨時情報と事前避難について
内閣府中央防災会議有識者議は、南海トラフ地震の発生が相対的に高まったという判断で 気象庁が「臨時情報」を発表する。
臨時情報 3つの条件
- 歪計で異常を観測したとき
- 前震の疑いがある地震(M7前後)が南海トラフ付近で発生したとき
- 南海トラフの半分で地震発生したとき(半割れ)
南海トラフ沿いで「異常現象」が観測されたとき(異常現象も種々ある)。 南海トラフ沿いでM7クラスの地震が起きたとき。 これらの事由により南海トラフ地震が「相対的に起きる可能性が高まった」となり、 検討委員会が判定を下し、気象庁が臨時情報を発令することになる。
- 臨時情報に相当する事例が過去5回あるが、南海トラフ地震は起きていない (2009、M6.5 駿河湾地震 震度6弱はこれに相当する)
- 1996 日向灘(宮崎)、2000 浜名湖(スロースリップ)、2004 紀伊半島沖、 2009 駿河湾、2016 紀伊半島沖が相当する。
- 臨時情報は予知情報ではなく地震が高まっていることだけを知らせるものである。(気象庁) 同時に、実際に地震が起きるかどうか分からず、 いつまで警戒、避難すればいいのかも決まっていないのが現状であり、 学校も企業も休みにしないという状況下にある。
高知県の対応策
- 支援が必要な、津波到達時間が短い地域の人。
- 耐久性のない住宅、土砂災害警戒区域に住む人に事前避難を呼びかける。 期間は3日間とし、その後は気象庁の情報を基に判断をする。 それ以上の対応は各市町村がきめる。(高知新聞)
上記、臨時情報の問題点
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1.について
地震発生の最重要項目である、「いつ」が明らかでないため、空振りの可能性が極めて高い。 -
2.について
過去5回該当する事例があるが南海トラフ地震は起きていない。 -
3.について
半割れを地震前に特定できるのか疑問。
臨時情報の1・2・3を総合判断すると事前避難は明らかに空振りの可能性が高いと言える。
本会の事前避難の判断
- 直前予知が可能なことにより、最重要項目の「いつ」が特定できる。
- 潮位偏差は時間経過と共に拡大しており、そのタイミングを見極め事前避難を発信できる。(別紙図参)
- 南海トラフ地震は或る日突然起きるものではなく、別紙図で示すように、 潮の狂いの発生から地震が起きるまで、宝永で27日、安政で20日、関東大地震では1ヶ月前から発生している。 このことは異常現象が発生してから地震が起きるまで時間があるということであり、 この空白時間の活用と判断が事前避難の決め手となる。
- 事前避難をすることにより犠牲者をゼロにすることができる。企業も種々の減災対策ができる。
- 事前避難は、要配慮者を含め家族全員が予め決めておいた場所に車で避難することができる。
- 人の命が助かることにより、事前復興等の道筋が見えてくる。
「検証」 3.11超巨大地震は予測できたか
政府中央防災会議は「東北地方太平洋沖地震」(以下3.11という)は予測できなかったとして、 現代の科学では地震予知は不可能であるという結論を出した。
これが、大震法の改正の理由である。
視点
- 地震予知とは、地震直前の異常現象の有無を徹底的に把握することにある。
- 各関係機関は地震前のすべての異常現象、宏観現象の現地調査及び検証を行い結論を出したのか疑問が残る。
- 歴史上南海トラフ地震の多くで地震前に潮の狂いが発生している。 このことと比較対照して検証する。
漁師たちの証言から学ぶ
「2013年度: 3.11地震直前の異常現象について」 証言事例へ
考察
- 上記証言は、明らかに地震の前兆現象と位置付けできる。 この事を、専門家がどのように分析判断されるのか今後の課題。
- 3月9日11時45分発生、M7,3牡鹿半島の東160㎞、深さ8kmの地震は 明らかに、「臨時情報」に相当する地震である。
- 海岸線の観測対制の不備が考えられる。
- これまでの経過からして、上記の異常現象を科学的に解明する事は、不可能と思われる。 故に、漁師たちの証言は貴重な証拠品と言える。
(3,11地震)牡鹿半島沖南東130㎞、深さ24㎞、M9,0、巾200㎞、長さ500km)
漁師たちの証言から考察(岩手県、宮城県、32港)
- 上記の証言で判明した事は、過去の南海トラフ地震と類似した「異常潮位、異常な潮の流れ、 爆発音、地鳴り、異常高温,発光現象」等その他多くの異常現象が観測されている。
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本調査結果より判明した事は海洋型巨大地震は類似した異常現象が発生する事が裏付けられた。
(地震まえの異常潮位発生は判明しているだけで全国で20回、記録されている)。
寸評
地震も自然現象であり再現性が認められる。 3,11地震は震源地が牡鹿半島沖南東、130kmと離れていた為、 沿岸部に異常現象が出にくい状況下にあった。 (過去の地震では、地下水、井戸の証言が多くあるが現代は井戸は不使用の為) それゆえ漁師達の証言は重要な証拠品であり、これを重視したい。
まとめ
- 南海トラフ地震の歴史から考察すると、 「東北地方大平洋沖地震」も南海地震と同様の異常現象が地震前に発生していた事を確認できた。
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異常潮流は3,11の「一年まえ」から発生しており、
34日前には牡鹿半島西側で通常の2倍以上の速い潮が流れている。
三日前には、電波障害が発生し種々の宏観現象が起きている。
この事は、地殻変動が進行し海底地盤が動いている事を立証している。
特に、3月9日の三陸沖地震、M7,3地震は明らかに「臨時情報」に相当する地震である。
少なくても、この段階で「事前避難」を発表していれば、多くの犠牲者を出さずにすんだ。 誠に無念である。
結論
「3,11地震は予測可能」な地震であったと言える。