『四国の懐かしいお菓子88』誕生秘話

郷土自慢!?

 私の職場でのこと。香川県東かがわ市出身の篠宮さん(女性)と徳島県美馬市出身の久里さん(男性)が、 地元自慢をはじめました。このふたつの町には、「ぶどう餅」「ぶどう饅頭」という名前も形もよく似た、 昔からある名物のお菓子があります。二人は、どちらが本家でどちらがおいしいと喧々諤々、互いに譲る気 配がありません。ついに、「それでは、みんなに食べてもらって決着をつけよう」ということになりました。

 おもしろそうなので、「私もなんか持ってきていいですか」と、私の地元愛媛の 「山田屋まんじゅう」を準備 して参戦。お二人に、「何じゃそれ」と半分冷笑されながらも、終わってみれば勝利はわが手に。み んな聞いたこともないお饅頭(愛媛ではみんな知っている)を前に、四国には古くから伝わる色々なお菓子 があるんだなあと、感心することしきり。

 これを契機に、みんなで四国に古くから伝わるお菓子を集めようということになりました。営業で四国中 を回っている久里さんは、行く先々のお客さんに地元のお菓子を教えてもらったり、私や篠宮さんも会う人 ごとに出身地を聞いて情報提供を求めたりと、少しずつお菓子の情報も集まってきました。後で聞いたので すが、このころ久里さんは私に四国のお饅頭を日替わりで出す和風喫茶を出させようと、丸亀町グリーンの 出店賃料をこっそり調べていたようです。しかし、目標もなくただ情報を集めるだけで活動は中だるみに。