女性心身症 |
一般内科を受診する患者さんの中に、5〜6%、心療内科では10%にうつ病があると 言われております。女性の更年期は45〜55才ですが、40〜60才迄と考えてもいい かもしれません。ちなみに、閉経は55才とされています。 心身症の定義は「身体疾患のなかで,その発症や経過に心理社会的因子が密接に関 与し,器質的ないし機能的障害の認められる病態をいう.ただし神経症やうつ病など他 の精神障害に伴う身体症状は除外する」としています. 心身症は器質的な身体病変を呈する場合(消化性潰瘍,気管支喘息など)と病態生理 的な機能障害を呈する場合(片頭痛,過敏性腸症候群など)とに2大別されます.また ライフサイクル別にみると思春期,青年期においては機能的障害としての心身症の頻 度が高く,成人期,初老期,老年期になるにつれてとしての心身症の頻度 が増加する傾向にあります.ただし小児期においては成人としての異なり心身が未分 化であり,全身的反応を呈する場合が多いとされています. 心身症は疾患名ではなく病態名であるので,例えば心身症として取り扱う必要が認め られる胃潰瘍であれば,胃潰瘍(心身症)と記載し,病名の後に心身症とすることが適 切と考えられます。 心身症としてみられやすいものに肥満症,緊張性頭痛(頭痛),片頭痛,狭心症,慢性 関節リウマチ,気管支喘息,頻尿(尿意頻数),不整脈,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,潰瘍 性大腸炎,過敏性腸症候群などがあげられますが,心身両面からアプローチすると内 科領域のみでなく、心療内科、泌尿器科,耳鼻咽喉科,整形外科,小児科,産婦人科 など臨床各科治療することとなりますが自己判断で受診するのではなく、かかりつけ医 に相談するか、臨床総合科で治療するものと考えてよいでしょう. |
更年期障害 |
更年期障害とは更年期すなわち成熟期から老年期への移行期に現れる不定愁訴を総 括した症候群であります.卵巣機能低下が主たる原因と考えられ、卵巣機能の衰退に より視床下部(内分泌および自律神経系中枢)を中心に下垂体および末梢標的臓器, 自律神経系調節機構,さらに大脳辺縁系からの影響との間の均衡に破綻を生じて起 こると考えられます. しかし更年期は身体的のみならず,心理的・社会的にも不安定な時期でもあるので,心 因的要素も加えられることとなります.症状の種類・程度・期間など個人差も強いので すが,急性症状として顔面紅潮・発汗・不眠・イライラなどが,慢性症状としては性交痛 coital pain・泌尿器系障害・腰痛・肩こりなどがあります. 薬物療法として性ホルモン・自律神経調整薬・精神安定薬、漢方薬、プラセンタエキス などが用いられ、心理療法も併用されることがあります. |
プラセンタエキスとは胎盤から抽出された様様な栄養素を豊富に含んだ物質です。ホ ルモンではありません。胎児は発育のために必要なすべてを(例えば酸素や栄養分な どの摂取や老廃物の処理等)胎盤を通して行なっています。そのエキスは自律神経調 整作用、精神安定作用、強肝作用、抗アレルギー作用等あらゆる異常に対応する物 質といっても過言ではないと思われます。 胎盤療法が始まったのは中国の唐の時代(620年頃)からで、元の時代(1270年 頃)から実際に用いられるようになり現在に至っているようです。近代の西洋医学として 行なわれるようになったのは、1930年頃のロシアから広がり、日本へは第二次大戦 後、中国大陸よりもたらされたとされております。当時は胎盤の体内への埋没が行なわ れておりましたが、胎盤エキスの注射薬が1956年より医薬品として認められ広く使用 されるようになってきました。ただ保険適応は更年期障害、乳汁分泌不全、肝機能障 害だけですが、自費診療で、美肌、アレルギー、うつ、疲労等様様な領域に用いられて おります。ここ20〜30年の医学の進歩に伴い、あまり話題に上りませんでしたが、最 近、副作用が殆どないこと、通常の医療ではかばかしくない症状に有効例があること、 美容によく、老化抑制作用がある等で見直されてきております。更年期障害のホルモ ン療法で不快が続いていた精神神経症状の改善や、思いがけず肌がきれいになった などといったこともあります。お子様のアトピーにも効果があるようで、これには保険が 使えませんが民間療法をお試しになりたいのならその前にトライしてみる価値はあると 思います。 ただ注射薬の持続時間が短いので、効果が現れるまでは週に数回注射をしなけれ ばならないのが欠点でしょうか。 |