医療行政トレンド解説 No.11 医療行政トレンド解説 No.11 (オンライン版)
1999/11/01 発行

看護必要度 ── 「医療の質」評価の新たなツール

◎看護必要度とは

情報によると、厚生省は来年4月の診療報酬改定において、「看護必要度」評価の導入を検討しているそうである。看護必要度とは何なのか。インターネット上のあるナース系のホームページ(=「ナースの泉」)での解説文を、勝手ながら抜粋させていただく(文章を一部修正しました)。

看護必要度とは、文字どうり看護のマンパワーがどれぐらい必要かという概念。
診療報酬改正の中で注目されはじめた概念である。今までの基準看護とは患者数と看護者の比率だけで算定されてきた。患者数に比べ看護者の割合が多ければそれだけ高い報酬がもらえてきた。
しかし、患者数は同じでも患者さんの病状、病態によって看護行為がどれだけ発生するかが違ってくるので、同じ基準看護を取っていても多忙を極める病棟と比較的ゆったり業務をこなせる病棟と差が出てくる。
例えば自立度が低くて介助項目の多い患者が多ければそれだけマンパワーを多く必要としてくる。
業務の負担は「患者数:看護婦数」だけでは表せられるものではない。
そこで負担の大きい病棟にはさらに報酬を上乗せしマンパワーを確保できるよう考えられたのが看護必要度という考え方なのである。
負担の大きい所にはそれだけ多く人員配置ができるよう配慮されるわけである。
看護婦の現場的視点でのとらえ方としては、これで良いだろう。
だが一方、病院経営的な観点からするならば、更に次のように言わなければならない。
「看護必要度概念が導入されると、これからは看護要員(と入院患者)の頭数をそろえるだけではダメで、それに見合う症度の患者を集めなくては、人件費が出せなくなってしまう。」
イメージ(ナース) 現在、「医療の質」の評価ということがさかんに言われている。
「医療の質」評価を軸として全国の病院のリストラ(淘汰)を推進していきたいというのが、厚生省のホンネである。
「医療の質」評価のツール(= 道具)として、まずクローズ・アップされてきたのは「平均在院日数」である(本連載No.3参照のこと)。そしてこれに続いて導入されようとしているのが、看護必要度なのである。

※なお、看護必要度の導入が当面想定されているのは急性期病床(2対1および2.5対1)のみとのことである。

◎看護必要度の指標化と評価方法

以下は、厚生省が発表している運用例(案)である。ここでは仮に、A〜Eの5つの一般病棟を持つ病院が想定されている。
まず、個々の入院患者を以下のような表にもとづいて指標化する。

看護必要度患者の病態や治療状況(例)指  標
(ポイント)
1度日常生活のみで自立、食餌療法のみ実施1点
2度移動のみ介助、高齢で聴覚障害あり、軽度痴呆2点
3度排泄、食事介助、チューブ管理、見当識障害3点
4度食事以外全介助、隔離、牽引中4点
5度全介助、手術当日、一時間毎の観察、鎮静剤使用5点
6度全介助、意識混濁、モニター監視中、点滴ライン3本6点
次に、病棟の看護必要度を、患者毎の指標(ポイント)と当該病棟における 構成比率に掛け合わせ、病棟の看護必要度指数を求める。
更に、一般病棟が複数ある場合は、患者数に応じた加重平均値を求め、一般病棟全体の看護必要度指数とする。
病棟患者数患者毎の看護必要度分布(%)病棟の看護
必要度指数
1度2度3度4度5度
A病棟50503020  1.7点
B病棟5020303020 2.5点
C病棟5010303030 2.8点
D病棟40154020203.35点
E病棟30102040303.9点
220 2.73点
そして、これによって求められた看護必要度指数に応じ、入院患者ごとの診療報酬に対して、下表のように1日定額で加算をつける。
基 準 値加算点
2.0点未満評価しない
2.0点〜3.0点未満○○点加算
3.0点〜4.0点未満○○点加算
4.0点〜5.0点未満○○点加算
5.0点以上○○点加算
◎DRG/PPSとの関連は?

以上見たように、この看護必要度の評価とは、患者の重症度を把握・測定し、そこに対して評価するシステムの一種と言える。そういう意味ではDRG/PPSの発想と共通するものがあると言えようか(DRG/PPSについては本連載No.4参照のこと)。これらがやがてリンクして行くことになるのか否か、それはまったく分からない…。が、いずれにせよ、個々の患者の症度に対するアセスメントとコード化がポイントになりそうだ。意識しておく必要はあるだろう。


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