本年4月の診療報酬点数改訂は、医療機関の規模による機能分化、つまり「診療所は外来中心、病院は入院中心」という医療を推奨する厚生省の姿勢が、従来以上によりはっきりと表われたものとなった。 その典型が200床以上の病院を対象として新設された「外来診療料」という点数。
また、急性期の病院にとってひとつの目標とされる「急性期特定病院」においても、認定を受けるための要件として患者数の外来-入院比が定められている。こうした政策には、医療供給体制の機能分化による医療費の効率化(患者の大病院指向の是正など)の意図が込められている。だが、はたして患者・地域のニーズをはじめとする医療の実情にどれほど見合ったものなのか。疑問の声もないわけではないようだ。
◎診療報酬点数表における診療所と病院の取り扱いの差
これまでにも「かかりつけ医機能の評価」などの名目で、診療所(無床ないし19床以下の医療機関)と病院(20床以上の医療機関)、さらには中小病院と大病院とで、同じ医療行為であっても料金が異なるという取扱いはなされてきた。以下はその「料金表」の一部。( ※ 点数は今年のもの、1点は10円として計算する)
診療所 病院(〜99床) 病院(〜199床) 病院(200床〜) 初診料 270点 250点 再診料(*1) 74点 59点 − 外来管理加算(*2) 42点 − 外来診療料(*3) − 70点 特定疾患療養指導料 225点 147点 87点 算定不可 老人慢性疾患外来総
合診療料(*4)735点 算定不可
*1: 200床以上の病院については、再診料は今年より外来診療料(次節)に移行した。 *2: 一定の要件で再診料に加算される点数 *3: 今年新設された点数(→次節) *4: 医療行政トレンド解説No.10 参照のこと
◎外来診療料
今年の診療報酬点数改訂で導入されたもの。以前は「特定機能病院」という一部の特殊な病院についてのみ「特定機能病院外来診療料」という同様の点数があったが、それが200床以上の病院すべてに拡大された。
この外来診療料とは、簡単な検査、処置についてこれらを再診料にマルメたもの。再診時にこれら検査、処置等を行えば、診療所、中小病院(〜199床)では当該点数が算定できるが、200床以上の病院では70点(700円)オンリーである。これら検査、処置を行わなくても70点。ちなみに診療所、中小病院の場合、一定の検査、処置等を行わなかったとき、上表の外来管理加算(42点)が算定できる。
つまり再診時に診察(と例えば投薬)のみだった場合、診療所だと116点、大病院では70点。検査、処置等を行えば診療所が74点+当該の所定点数なのに対し、大病院は70点のまま。そういう仕組なのである。この点に関する限り、200床以上の病院にとっては「外来は割に合わない」。
※ 外来診療料にマルメられる検査、処置とは、以下のものを指す。
尿一般/尿沈渣/便潜血/抹消血一般/血液像/赤沈/創傷処置(一部)/膀胱洗浄/眼・耳・鼻処置/消炎鎮痛処置(物療など)など
◎急性期特定病院
3月の「医療業界トレンド解説(No.4)」に書いたが、本年の診療報酬点数改訂で「急性期特定病院」という類型が新たに登場した。先に触れたとおり、これは急性期対応の病院としてやっていこうというちょっとした医療機関ならば、まずは目標と定めるべき病院の類型である。
ところが、この急性期特定病院の認定の要件に、患者数の外来-入院比が挙げられているのだ。
具体的には、外来患者数を入院患者数の1.5倍以下に押さえ込まなければ、急性期特定病院となることはできない。
従来、民間病院の経営者は、外来患者をいかに呼び込むかに頭を悩ませるのが常だった。しかし、急性期特定病院の認定を受けるためには外来患者抑制策を検討しなければならないケースもあり得るのである。
患者にとってこれらのことが良いことなのかどうなのか、疑問なしとしないのではあるが……。
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