IZUMINO-izm 13年04月号より
片岡さん

先月の本欄で「石の綿」というマンガを紹介した。この中の第1章に登場するクボタショック「発掘」に関わった1人、関西労働者安全センター*1の片岡明彦さんは、私の30年以上前からの知人である。学生時代、お互い同じ大学で各々別の社会運動系サークルに属していたが、原発労災の裁判*2の支援を共にやっていて、支援団体の会報発送作業手伝いなどに毎月のように一緒に通ったものだ。その団体の事務所が大阪の関西労働者安全センター内にあり、彼は大学生活の後、そのまま同センター専従となった。私は同じ年、同センターと協力関係にあった病院に就職し、以後ずっと、病院事務屋稼業を続けている。一方、片岡さんは、同センターで労災・労働安全衛生分野で労働者支援一筋に活動を続けている。こうした中、「発掘」されたのがクボタショックであり、他にも彼は最近では印刷工場における胆管がん多発問題「発掘」に関わるなどして注目されている。

クボタショックや胆管がんの問題を見て、つくづく思うのだが、関西労働者安全センターのようなささやかだが地道に活動を行っているNGOが社会的に果たしている役割はとても大きい。彼らのような活動があればこそ、埋もれていたさまざまな問題が発覚し、被害者救済のために政府も腰を上げるようになった。石綿被害者救済法など、立法化へといたった例もある。

私は30年来、関西労働者安全センターの機関誌を購読しているので知っているのだが、同センターの活動の基本は、日常的な相談活動である。徹底的な現場重視。現場に即し、現場の労働者や被災者がもつ問題の具体的な解決のため、とことん考える。現場の問題の解決の鍵は、いつも現場の中にある。われわれ医療の世界も同じ、と思うのだ。

*1)関西労働者安全センター:大阪にある労災・労働安全衛生NGO
*2)岩佐訴訟:岩佐嘉寿幸さん(故人)が日本原電敦賀発電所で作業時被曝し、放射線皮膚炎などを負ったとして損害賠償を求めた裁判、1991年敗訴確定


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