IZUMINO-izm 16年01月号より
ミミズの謎

ちょうど1年前の本欄もミミズの話題だったが、今年はその続編。新年早々、ミミズの話で恐縮である(^_^;)。
昨年書いたシーボルトミミズ(カンタロウのこと)の不思議な習性は、要約すると次のようになる。

・シーボルトミミズは毎年晩秋の雨の夜、山を集団で降りる。
・シーボルトミミズの集団発生は、ときに大発生となる。
・冬を前に山を下りるシーボルトミミズの行動は、あたかも大雪を予知するかのようである。

さて。最近、「ミミズの謎」という本を読んだ。児童書なのでとても読みやすいが、内容はとても興味深く、また、ミミズの「謎」の究明に努力を傾ける著者の姿や科学的な方法論の紹介がとても共感できる、素敵な本だ。

著者がミミズにとりつかれるきっかけになったのが、自宅周辺で見かける大量の「干からびミミズ」の出現だ。シーボルトミミズ同様、ミミズの移動行動に関連する現象である。著者は地道な観察を通し、この種のミミズの集団発生に月齢が関連することを突き止める。

他にも本書にはホタルミミズという光るミミズや、体長数メートルという巨大ミミズなど、とても楽しい話題が豊富にあり、引き込まれる。ミミズをめぐる深い世界への誘いの書、といって良い。

柴田康平:ミミズの謎、誠文堂新光社、2015年


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