ブドウ圧搾機の上で先月の本欄でボブ・マーリーの唄を取り上げた。なので、ついでにもう一曲紹介しよう。私はワインが好きなので、バビロン・システムという曲の歌詞の中の、こんな一節が気になったりするのだ。
(和訳は拙訳、少々の間違いはご容赦を)
We've been trodding on
the winepress much too long
Rebel,rebel俺たちはあまりにも長い間
ブドウ圧搾機の上で踏みつけにされてきた
今こそ烙印を投げ返せ
「あまりにも長い間…」というのは、奴隷貿易(15〜19世紀)以降のアフリカ系黒人に対する抑圧の歴史のことを指している。その影響は現代にまでおよび、マーリーはこの状況に対し「反逆せよ(Rebel)!」と呼びかけているわけだ。だが、ま、それはさておき……。
「winepress」とはブドウ圧搾機(搾汁機)のこと。ワインをつくるためにブドウの果汁を搾る機械のことである。白ワインと赤ワインとでは工程が若干異なるが※、どちらもブドウの破砕、搾汁のはじめの方に流れ出る果汁をフリーラン、圧搾機で無理やり(?)絞り出される果汁をプレスランと呼んでいる。
フリーラン果汁は、フレッシュでフルーティーな風味が特徴。一方のプレスラン果汁は、果皮由来の香りやコク、適度な渋みなどが特徴で、両者のブレンド具合がワインの風味に重要な影響を与えることになる。赤ワインに多く含まれ、抗酸化作用を有するポリフェノールは、もっぱらプレスラン果汁の方に含まれる。
さて。私の「湧水」の文章も、フリーランのように苦労なくするすると出てくる時もあれば、プレスランのように無理やり絞り出さないと出てこない時もある。結果、皆さんが目にしている拙文はどうだろう。ポリフェノールは効いているだろうか?
※ 白ワインでは破砕後、果皮・種子を取り除いてから搾汁する。赤ワインは果皮・種子を果汁とともにある程度発酵を進行させたのち搾汁し、果皮・種子を取り除く。