ナイチンゲールとマルクス先月に引き続き、ナイチンゲールの話題である。まんが版「ナイチンゲール伝※」を読んで、ふと気づいたのだが、フローレンス・ナイチンゲール(1820〜1910)は、カール・マルクス(1818〜1883)と同世代である。マルクスの盟友エンゲルス(1820〜1895)とは同い年だ。
共通しているのは年令だけではない。ナイチンゲールの使命感の原点は、1842年、イングランド中部のリー・ハーストで農民の貧困の現実を目の当たりにしたことにあった。この頃マルクスたちはやはりイギリスなどの労働者の悲惨な実態を見て、社会変革の情熱を持ち、さらにそれを理論にまで高めようと、苦闘を始めている。エンゲルスが「イギリスにおける労働者階級の状態」を著したのは1845年、有名な「共産党宣言」発表は1848年のことである。
また、クリミア戦争後、ナイチンゲールが病に苦しみながらも、もっとも活動的に仕事を行った1850年代末〜1860年代は、マルクスにとっては経済学研究を徹底して行っていた時期にあたる。そしてついに1867年、「資本論」第1巻が出版される。
思うに、ナイチンゲールとマルクス、エンゲルスは、国家に対する向き合い方などは随分と相違があるように思える。しかし、青年期に貧困問題をはじめとしたこの世の悲惨に対し問題意識を持ち、おそらくは高い使命感を生涯抱いて、全力で闘い、生き抜いた点で、彼らはじつにそっくりに見えるのである。
※ 茨木保:ナイチンゲール伝、医学書院、2014年