所在地:徳島県那賀郡那賀町横石字大板 【山神社境内】



2009年6月28日。鎌瀬の農村舞台で、徳島新聞社主催のイベント
「生かそう農村舞台」が開かれました。

通常、農村舞台と言われる舞台ですが、大部分は険しい山の斜面にある、いわば山村舞台である場合が多いのに対して、鎌瀬は国道195号線道の駅「もみじ川温泉」から徒歩10分のいわば平野部にあります。

「相生森林美術館」からだと緩やかな階段を上ること約2分。
上からの眺めは素晴らしく、これぞ農村舞台といった趣がありました。

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鎌瀬舞台と神社本殿との位置関係
農村舞台の見物席は神社境内にあり、平野部でも神殿は小高い場所や山裾を選んで位置するものも多く、村落を見下ろすところまで本殿をできるだけ高く上げるようにしてあります。(下に見えるのは相生森林美術館)


山神社本殿
神社の規模や敷地の形態により、舞台が本殿に向かって左側に横向きに建つかたちは左型といわれ、太夫座が本殿に対してやや横向きになっています。鎌瀬の舞台は本県の農村舞台では2番目に多い左型です。  (神社本殿との位置関係)


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「恵比須(えびす)舞」 木沢芸能振興会
オープニングは、木沢芸能振興会の9人による「恵比須(えびす)舞」。「さあさあ皆さん、皆の衆」。威勢のいい掛け声で会場が一気に盛り上がりました。

「農村舞台のおはなし」 大和武生氏
大和武生阿波農村舞台の会会長から、江戸期以降に建てられた舞台の歴史や価値についてのおはなしがありました。
「山から木を切り出し、自分たちで作った農村舞台は、村人の結束の象徴だった」と指摘し、農村舞台の復活活動により、「地域の結束を取り戻し、地方を再生するきっかけになる」と語られました。

「文楽人形の実演とおはなし」 吉田勘緑氏
人形師吉田勘緑さんによる「文楽人形の実演とおはなし」がありました。軽妙なトークを交えながら、熱演する吉田勘緑さん。

文楽で八百屋お七というと、火の見櫓に上がって半鐘を鳴らす場面が有名ですが、「『八百屋お七』を外で演じたんは初めてですわ」。舞台に入りきらないやぐらの前で勘緑さんはそう語った。

国立文楽劇場の大舞台が活躍の場である勘緑さんが辺鄙な山あいの小さな農村舞台に立って、優れた技を披露して下さるのには頭が下がります。しかも無料です。

そうそう、八百屋お七の養父母は徳島の出身だということ知ってました?助任の万福寺にお七地蔵がありますよ。

三味線の音に合わせ、人形を繊細に操る場面に、会場からは感嘆の声が上がりました。

「ミニ座談会」 西郵局氏・湯浅悦司氏・花岡健司氏・吉田勘緑氏・佐藤健司氏
那賀町内には今も45棟の農村舞台が現存している。「農村舞台と集落の再興」をテーマにミニ座談会が開かれ、地域振興や集落の再生における農村舞台の果たす役割などについて活発な意見が出されました。

来場者は熱心に耳を傾け、町内に多く残る農村舞台の保存、活用の意義を再認識しました。
       
「三番叟(さんばそう)」吉田勘緑&青年座
最後は吉田勘緑さんと城北高校民芸部OBらでつくる「青年座」が「三番叟(さんばそう)」を競演。さすが勘緑さん、農村舞台の特徴を生かした演出で屋外を駆け巡り、三体の人形が絡み合いながら、ユーモアたっぷりに祝いの舞を見せ、客席からは手拍子、笑いが起こりました。


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