徳島といえば阿波踊りが有名ですが、
その他にも阿波藍、阿波人形浄瑠璃など徳島ならではの
特色ある文化が先人より受け継がれてきました。

今回は阿波人形浄瑠璃と農村舞台について
ご紹介したいと思います。

犬飼農村舞台    今山農村舞台

小野さくら野舞台  川俣農村舞台

拝宮農村舞台 
北川農村舞台

鎌瀬農村舞台
坂州農村舞台
徳島城内小屋掛

浄瑠璃の名の由来
浄瑠璃の起源は、源九郎義経と三河の国矢矧(やはぎ)の長者の娘・浄瑠璃姫との恋物語を、遊芸芸人によって口伝で語り継がれてきた口承文芸が、悲劇の主人公としてもてはやされ、大人気となり、後には浄瑠璃姫と直接関係ない作品まで「浄瑠璃」の名で呼ばれるようになりました。

浄瑠璃と人形と三味線の結合
写真は浄瑠璃姫とは関係ありません
扇や鼓で拍子を取ったり、琵琶の伴奏で語られていた浄瑠璃が、琉球から蛇皮線が伝来され、それに改良を加えられた三味線が使われるようになり、17世紀の江戸時代初期には、人形とも結び付き、人形浄瑠璃として世に人気を集めました。
人形浄瑠璃ではシンとなる主遣い(おもづかい)左手の担当左遣い(ひだりづかい)両足の担当足遣い(あしづかい)の3人が1体の人形を操作します。

左:主遣い  中央:足遣い  右:左遣い
 
右手は主遣いが、左手は左遣いが操作するので、両手を合わせるのが難しいのだそうです。
阿波人形浄瑠璃の特徴
文楽阿波人形浄瑠璃は、元は同じものだったのが、文楽は上方の舞台で目の肥えた観客に公演していたので、洗練された芸風になったのに対し、阿波人形浄瑠璃は、農村舞台での効果を考えて、人形の頭(かしら)を大型化し、それを生かした大振りな人形操作など独自の演出法が生まれ、人形芝居の面白さを普及する役割を果たしました。
☆ 頭のサイズ:文楽人形4寸(12cm)阿波木偶およそ6寸(18cm)
☆ 頭の塗り:文楽人形は艶消し、阿波木偶は光沢あり


農村舞台
江戸時代から明治時代にかけて、人形浄瑠璃をはじめとする様々な芸能を、鑑賞するだけでなく自らも参加して楽しむことを目的に、村人が力を合わせて造り上げ、村全体で維持してきたのが「農村舞台」です。村の共有地である神社の境内に建設されました。
全国各地に造られた農村舞台の多くが歌舞伎用の舞台であるのに対して、徳島の農村舞台は人形浄瑠璃のためのものでした。特徴として、浄瑠璃語りが座る太夫座があります。
農村舞台は藍作に深く関係していて、藍で栄えた吉野川流域には立派な人形座が小屋掛けの舞台をつくり有料で演じていました。なかには入場料は藍作地主や藍商などが負担していたところもあったようです。
そのため、農村舞台は主に非藍作地帯に作られました。平成19年9月現在、徳島県には100棟の農村舞台が残っており、数棟の舞台で毎年定期的に人形浄瑠璃の公演が行われています。
ABC
舞台と本殿との位置関係    犬飼舞台の場合   さくら野舞台の場合   拝宮舞台の場合
                      鎌瀬舞台の場合
舞台は神社の境内にあり、本来舞台で演じられる芸能は祭神に奉納することを目的としているため、舞台は祭神(本殿)から見える位置になければならないとされています。
また、太夫座は舞台上手に設置されることが一般的で、一座の代表格である太夫が祭神に向かうような配置になっています。
からくり 神社側からみた舞台
舞台のからくりは舞台上の転換装置で、徳島では舞台自体の場面転換と、舞台で使用する背景のふすま絵を変化させるものとの二つがあります。回り舞台は歌舞伎で使用するもので、襖絵のからくりは何重もの敷鴨居に取り付けたものを引き抜くほか田楽といって襖の中心に回転軸があり、裏表の絵を瞬時に回転して替えるなど舞台背景を転換させる仕組みです。
参考文献 阿波農村舞台の会発行「阿波人形浄瑠璃と農村舞台」
リンク:「阿波人形浄瑠璃の世界」 人形浄瑠璃について詳しく紹介されているサイトです。