ゲバラのコーヒーエルネスト・チェ・ゲバラ(1928〜1967)。彼が何をした人か知らなくても、彼の肖像を目にしたことが一度はあるだろう。彼は1928年、アルゼンチンに生まれた。幼少より喘息を患い、医師を志す。医学生の時、南アメリカ各地をバイクで回り、社会の様々な矛盾を目の当たりにする。やがてカストロらのキューバ革命に参加。革命に勝利後、キューバ国立銀行総裁も務めた。その後キューバを離れ、アフリカのコンゴ、ついで南米ボリビアでのゲリラ戦に身を投じる。1967年10月8日、ボリビア政府軍に捕えられ、翌9日射殺。彼が残したボリビア日記(通称ゲバラ日記)は1966年11月7日から1967年10月7日までの克明な記録だが、ユネスコの「世界の記憶」に指定されている。
さてそのゲバラ日記。私は1967年10月3日の次のくだりが好きだ。その日はそれ以降とてつもなく平穏で、われわれは黄昏時に下山して、コーヒーを淹れた。油で汚れた鍋を使用してやや塩味のある水で作ったにもかかわらず、えもいわれなく美味であった。それから、トウモロコシ粥を作ってその場で食べ、弁当にするためにバク肉入りの米飯を料理した。※ゲバラが食事について日記に書いたのは、10月3日のこの記録が最後だ。油と塩の混ざったその「えもいわれなく美味」と彼のいうコーヒーがどんな味だったか、私は時々想像してみる。そして、今からちょうど50年前にこの世を去ったかの革命浪人の生涯に想いを馳せるのである。もっとも、だからといって、このコーヒーを再現して飲んでみようとは思わないのだが……。
※ チェ・ゲバラ:新訳ゲバラ日記、平岡緑訳、中公文庫、2007年関連)
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・湧水2009年4月:ゲバラ日記
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