痔とは肛門付近の病気のことをいうのですが、そのほとんどは次の三大疾患ー痔核、裂肛、痔瘻で
占められます。 しかし、一般の方には自分が悩んでいるのがどの痔なのか、あるいは本当に痔なのか
どうかも分かりにくいもの。早めに一度は専門の肛門科の受診をお勧めします。
○ 痔核(いぼ痔ー内痔核と外痔核)
いぼ痔の中でも内痔核は、いわゆる痔の中で占める頻度がもっとも高く、痔で悩んでいる人のほとんどは
この内痔核です。この内痔核−実はガスや便が漏れないよう肛門をしっかり閉じる蛇口のパッキンのよう
な働きをしている 肛門クッション(誰にでもある正常な組織) が弛んで排便時に出血や出てくる (その状
態を脱肛という)などの症状を起こすようになったもの。 血管が異常に拡張してコブ状になったものだとか、
血管が異常に形成されることが原因などと言わたこともありましたが、現在では否定されています。
内痔核とは、誰にでも正常な組織として生まれながらにある肛門クッションが、長い年月をかけてだんだん
弛んで症状が出るようになったもので、数年前までは手術で切除するしか治す方法はないとされてきまし
た。しかし、「ALTA療法」 という新しい治療方法の出現により、内痔核に対する治療法に大きな変化が
起きつつあります。
※ひとこと
「痔ですね」といわれると皆さん嫌〜な顔をされますが、痔になるもとはみ〜んなお持ちなのです。
○ 裂肛(切れ痔)
肛門に裂傷を起こした状態。ほとんどの場合、便秘による硬くて太い便が原因。
つまり、自分で自分の肛門を傷つけているわけで、患者さん自身が便秘を解消することなどによって治る
可能性の高い病気です。そのほか、肛門ポリープ、内痔核が原因でできる切れ痔、クローン病などの病
気の一部分症としてできる切れ痔などがあります。
○ 痔瘻(あな痔)
肛門のまわりに膿が溜まることで腫れて痛くなり(その状態を肛門周囲膿瘍という)、膿の出口が自然に
できるか、あるいは病院で切開されてできるかによって、膿が出たあとに“ろう管(膿のトンネルといわれる)”
が残った状態。
○ その他のよくみられる肛門疾患
・直腸脱
・尖圭コンジローマ
・皮垂
・肛門掻痒症
◆私からのアドバイス◆
痔とは何かを知ることにより、「決して恥ずかしい病気なんかではない」という正しい認識を持っていただきたい
と思います。痔は「手術しないと治らない」というのも、ややもすれば誤った固定観念です。「痔かな?」という
症状がおありの方、いたずらに悩むことなく一度専門の肛門科を受診し、十分納得のいく説明を受けた上、
早めに治療をお受けになることをお勧めします。
◆こんな症状はありませんか?◆
排便時の出血、検便での潜血反応陽性などは、“内痔核 (いぼ痔) ”が原因であることがほとんどなので
すが、肛門のすぐ奥の直腸に病変がある場合もあります。自己判断で市販薬に頼るのではなく、一度は
肛門科の受診をお勧めします。そのほか、便通の調子がおかしい、お腹が張る・痛むなどの症状も大腸に
何らかの原因があることもありますので、早めに検査をお受けください。









