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外科・胃腸科・内科・肛門科 楽な内視鏡検査

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〒762-0087 香川県丸亀市飯山町西坂元705-1

痔とその治療

痔とは?

方針イメージ

痔とは肛門のまわりの病気の総称です
よく耳にする病名なので一般の方もわかっているようになっているようですが、実はいろんな種類の病気がありますから分かりにくいところがありますし、患者さん自身が恥ずかしがって一人で悩んだり、また痔を診る医療機関が少ないため適切な治療が行われないということもままあります
当院では痔について分かりやすい説明を心がけ、患者さんの要望に応えるきめ細かい対応と負担の少ない適切な治療をするようにしています
一般に痔というとそのほとんどは痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)の三大痔疾のどれかです
しかし、一般の方には自分が悩んでいるのがどの痔なのか、あるいは本当に痔なのかどうかも分かりにくいもの
いたずらに悩んだり市販の薬に頼ることなく専門の肛門科の受診をお勧めします

■■痔核(一般にいぼ痔といわれ、内痔核と外痔核がある)
内痔核はいわゆる痔の中で最も多く、多くの人が悩まされています
図のように肛門クッションというガスや便が漏れないよう肛門をしっかり閉じる蛇口のパッキンのような働きをしている生まれながらにある正常な組織がだんだん弛んで、排便時に出血したり脱出(その状態を脱肛という)するなどの症状を起こすようになったものです

血管が異常に拡張してコブ状になったものだとか、血管が異常に形成されることが原因などといわれたこともありましたが、現在では否定されています
基本的に痛みは起こさないので、痛くないのに出血したという場合は、そのほとんどはこの内痔核が原因です

ある程度ひどくなった内痔核は近年まで手術で切除するしか治す方法はないとされてきましたが、2005年に開発されたALTA療法(ジオン注療法、四段階注射法、硬化療法などともいわれます)という新しい治療法の出現により大きな変化が起きました

※私からのひとこと
 「痔ですね」というと皆さん嫌〜な顔をされますが、痔のもとはみ〜んなお持
  ちなのです


外痔核は肛門の縁に、ある日突然できる血栓(血の塊)によってシコリができて痛みを伴いますが、数週間で消えてなくなります。血栓性外痔核ともいいます。手術することはほとんどありません

■■裂肛(切れ痔)
肛門に裂傷(裂けた傷)ができた状態。ほとんどの場合便秘による硬くて太い便が原因です。つまり自分で自分の肛門を傷つけているわけで、便秘を解消することによって治る可能性が高い病気です
ほかに肛門ポリープや内痔核が原因でできる切れ痔、クローン病などの病気の一部分症としてできる切れ痔などもあり、これらの場合はその多くが手術が必要となることがあります

■■痔瘻(あな痔)
肛門の奥にある凹みに細菌が入り込んで炎症を起こし、次第に膿がたまることで肛門の縁が腫れて痛くなり(その状態を肛門周囲膿瘍という)、やがて肛門から少し離れたところに膿の出口が自然にできるか、あるいは病院で膿を出すために切開されて溜まっていた膿が出た後に瘻管(膿のトンネルといわれる)が残った状態です
昔は痔瘻は全例手術しなければいけないといわれていましたが、現在では必要な場合のみとされ手術が行われるのは4割ほどです。

■■そのほかのよく見られる肛門疾患
・直腸脱:高齢の女性に多く、ほとんどが手術による治療が必要です
・肛門掻痒症:日常生活に原因があることが多く、塗り薬で治ります
・皮垂:女性に多く、多くの方が痔が出っぱなしになっていると誤解しています
    医学上はあまり問題になることはありません
・尖圭コンジローマ:ウイルスが原因。焼灼治療が最も有効です

◆◆私からのアドバイス
痔とは何かを知ることにより、「決して恥ずかしい病気ではない」という正しい認識を持っていただきたいと思います
痔は「手術しないと治らない」というのも実は誤った固定観念で、今では生活習慣病とされ、生活習慣の改善により治る場合が多いのです
「痔かな?」という症状がある方はいたずらに悩むことなく、一度専門の肛門科を受診し、十分納得のいく説明を受けたのち早めに適切な治療をお受けになることをお勧めします

◆◆こんな症状ありませんか
排便時の出血や検便での便潜血反応陽性などは内痔核が原因であることがほとんどなのですが、まれに肛門・直腸またはそれより奥の大腸に悪性の病気があることもあります
出血の他にも便通の調子がおかしい、お腹が張る・痛むなどの症状も大腸に何らかの原因があることもありますから大腸の検査を受けることをお勧めします

痔の治療

■痔核と裂肛
これらは最近は生活習慣病とされ、まず保存的治療(食生活や排便習慣の改善)が優先されるべきで、痔の状態や症状に応じて薬物療法(内服薬や外用薬)を追加します
上記の治療で症状が改善しない場合は、ゴム輪結紮術や手術療法(痔核結紮切除術)が必要となります
2005年にはALTA(アルタ)療法という新しい治療法が開発されました
当院では患者さんの痔の状態に応じた最も適切な治療法を行うようにし、日帰り手術も積極的に行っています
入院が必要な場合は、香川労災病院に紹介し入院のうえ手術をするようにしています

■痔瘻
肛門周囲膿瘍の状態から膿が出きってしまうと痔瘻になりますが、痔瘻は全例手術をしなければいけないといわれたのは30年以上前のことで、現在では約4割の症例にのみ手術が行われています
膿が出るとか腫れて痛むとかの症状がなくすっかり落ち着いた状態であれば「寝てる子を起こしてまで」手術をする必要はありません
つまり時々腫れて痛む、膿が出るなどの症状が繰り返し続く場合は手術が必要です


ALTA(アルタ)療法について

ALTA療法とは
ALTAとは、ジオン注(田辺三菱製薬製)という注射液の有効成分である「硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸」の英名ALminum potassium sulfate hydrate・Tannic Acidの頭文字をとった略です
内痔核に対する手術の一つで、痔核硬化療法(四段階法によるもの)、ジオン硬化療法、注射療法ともいわれていて、注射液(ジオン注)を内痔核に直接注射する治療法です
なお同じ注射療法としてパオスクレーという注射液を用いた治療法があります
これは内痔核の症状のうち出血に対して有効ですが、脱出に対する効果はあまりないとされています。また出血に対する効果も約一年間とされており、ALTA療法とは性格が異なります。当院ではパオスクレーによる硬化療法は行っておりません

■ALTA療法の特徴
効果は速効性です・・・治療の翌日には出血や脱出などの症状が消失します
内痔核への注射には、痛みはほとんどありません
入院の必要はありません(日帰り手術です)
翌日からの排便時に痛みはほとんどありません。安心してトイレに行ってください(手術で痔を切った場合は・・・かなり痛みます!)
治療にかかる費用は、入院して手術を受ける場合に比べ安価です


内痔核の治療に関しては、長い間手術による切除術が最終かつ最善の治療法とされてきましたが、2005年上記のALTA療法という画期的な治療法が開発されました。
そもそも内痔核とは肛門の奥にある肛門クッション(蛇口のパッキンのように肛門をしっかり閉じる働きをする生まれながらにある組織)が弛んで出血や脱出といった症状をきたすようになったもの。ALTA療法はその弛みをとることによって痔の症状を消失させる、つまり痔を直すという理にかなった最良の治療法といえます
当院では、内痔核の治療法としてこのALTA療法を第一選択(最優先の治療法)として行ってきましたが、多くの患者さんからその治療効果に大変満足との嬉しい評価をいただいています


当院でのALTA療法の実際
ALTA療法は毎日(木曜の休診日以外)午後に行います(予約が必要です)

■外来受診日には
診察によりALTA療法の適応かどうかを決めます
ALTA療法の内容を説明します
患者さんの既往歴(どんな病気になったか)や飲んでいるお薬を確認したあと治療日を決めます

■治療当日
朝食は普通に摂っていただき、昼食は軽めに摂って来院していただきます
付き添いは必要ありません。ご自身の運転でのご来院はもちろん可能です
必要に応じて苦痛のない範囲で大腸の検査を行います
点滴をしながら注射療法を行います
治療が終わったとしばらく休んでいただき、問題がないことを確認して帰宅していただきます

■治療後は
痛むことはほとんどありません。食事・入浴・排便は普段通りにどうぞ
アルコールや激しい運動・重労働などはしばらくお控えください
治療後1〜2週間ごとに通院していただき、4〜6回経過を観させていただきます


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