何度でも先月に続き、映画「MINAMATA」関連の話題である。作品にはヤマザキという患者運動のリーダーが登場する。真田広之が演じている。このヤマザキのモデルの一人とされるのが川本輝夫(1931-1999)だ。氏については本欄でこれまで二度紹介している(2005年2月、2017年4月)。
この二度の記事で川本氏について紹介しながら、私が伝えたかったことは次の二点。
ひとつは、氏の座右の銘であった「熱意とは事あるごとに意志を表明すること」。この言葉は私にとっても「導きの糸」である。この病院を良くしようと、これまで院内で数々の意見表明や問題提起を行ってきたつもりだが、必ずしも全て実現したり受け入れられたりしたわけではない。だが、それでもくり返し意志を表明し続けることが大事だと思っている。何度か潰えたプランであっても、さらに何度目かの意志表明によって、ようやく道が開けることもあるからだ。川本氏もそうやって、時に孤独な闘いに耐えていたはずだ。
もうひとつ、「井戸を掘る」ということ。2017年4月の湧水では次の言葉を紹介している。
思えば独自に少数の同志の患者と東京で直接交渉の井戸を掘ったからこそ、 水俣病事件は全国に知られ、百余名に過ぎなかった認定患者が40年後、2,263人に、“準”患者は10,305人に成り得たのだ。※大きな成果はいまは出せていないかもしれないが、たとえ小さな歩みでも今やっているからこそ、後の成果につながり得る活動というものがあると思う。
4年前の湧水に書いた問いを再度問うてみよう。
さて、私は(あなたは)、これまでどれだけ井戸を掘っただろう……?
※ 回想・川本輝夫 ミナマタ ── 井戸を掘ったひと