勉強の仕方2

暗記科目の覚え方

勉強の仕方その1 の続きです。
その1では集中力とスピード、速音読、そして勉強の仕方のアウトラインを説明しました。
今回はもっと具体的に、実際に勉強するときにどんなふうにやればいいのかを説明します。速音読とは何か知らない方は「勉強の仕方 その1」と冊子「能率の良い勉強の仕方」から先に読んでください。

暗記科目の覚え方
小学生の理科のプリント教材を例に説明しますが、中学生でも、社会科でもやり方は同じです。
下をクリックしてプリント画像をご覧ください。小6用の暗記用一問一答プリントです。このページは25問あります。
クリック 理科の一問一答プリント
このページのように問題数が多いときは5から10問ごとに横線を入れて区切って覚えます。今は5問ずつ覚えることとして説明を続けます。

(1)解答らんを下敷きなどでかくして1番の問題文を声を出して速音読します。
答えが3秒以内に言えなければ覚えたことになりません。記憶の定着が不十分です。これではすぐに忘れてしまいます。
3秒以内に言えないときは答えを見て、問題文と答えをセットにして5回ぐらい速音読します(暗記作業)。
答えをかくしてもう一度テストします。3秒以内に答えることができたら下敷きをずらして正解かどうか確認します。

(2)次は2番の問題を同様に。
続けて5番まで言えるようになったら、もう一度1番から通してやり直しします
1番から5番までスムーズに答えられるようになったら、同様に6番から10番まで覚えます。
10番まで終わったら、1番から10番まで通して一気にやってみます
間違ったり、答えがすぐに出てこなかった問題は、問題と答えを5回ぐらい連続で速音読します。
次は11番から15番、15番から20番とやったら、1番から20番を通してテストしてみます。OKだったら20から25番を覚えて1から25番まで全問を一気にテストします
このように5個進むごとに元に戻って通してやります。これは5個進んでいるうちに初めの方が忘れてくるので、超短期の復習を何度もやっているのです。インプットとアウトプットを何度もやっていることになります

ここで終わりではありません。口で言えるようになってもまだ記憶は浅いものです。

(3)今度は解答らんをかくして、ノートに答えを書いていきます
書くことに時間をとられたら時間がもったいないので、速書き(はやがき)していきます。答え合わせをして、漢字で書けなかったところ、まちがったところをノートに何回も速書きして覚えてください。1回や2回じゃだめですよ。少なくても10回以上は速書きしてください。

速書きするときは力をぬいて、鉛筆を軽くにぎること。大切なことです。

強く握ると手が疲れます。手が疲れると書くことに対して精神的に抵抗が生まれて嫌になります。
軽くにぎって速音読のようにできるだけ速くスラスラと書きます。100回ぐらい書いても平気になるぐらい速書きすることに慣れてください。
*くり返しになりますが、できるだけ速く、できるだけ短い時間で何度も何度も読み書きすることがポイントです。これはインプットとアウトプットを何度も行う作業です

ちょっと待った!
せっかく覚えたのに、、今日だけ覚えていればいいんですか?(ん-、TVの通販番組みたい)
人間の脳は1週間たてばほとんど忘れてしまうようになっています。
これで終わったら今までやった勉強がやってないことと同じになります。
もったいないですよね。
忘れてしまう前に復習して記憶を固めないといけません。短期記憶用の部屋から長期記憶用の部屋へ移すのです。

(4)次の日、必ず1ページ通してテストします。
ノートに答えを書いて、間違ったところを早書きして覚えなおします。今日よりずっと短い時間でできるはずです。
翌日または1日おいて、もう一度ノートにテストします。
最低3回はやらないと記憶を長くとどめておくことができません。
3回やったら次は1週間後ぐらいにもう一度やってください。
たいていの人は「もう覚えた。」と1回で終わってしまうからテストのときにいっぱい間違うのです。しつこいぐらいダメ出しをしないと脳は覚えてくれません

次に、ほかの教科の勉強法も説明しますが、その前に。。
「灘文字」(なだもじ)て聞いたことがありますか?
灘は東大に毎年たくさんの合格者を出す神戸の進学校、灘高校のことです。
男子校なので女子がいないこともあるかもしれませんが、灘の生徒は字が汚いというのです。もちろん、全員ではないでしょうが。
成績優秀な生徒は教えられなくても勉強は時間が勝負、ということを経験として知っています。
頭の回転が速いので頭にどんどん湧き上がってくることに書くスピードがついていかない。だから自然と速く書くようになります。
速く書いているということは集中しているということにもなりますね。
何度も書きますが、勉強はスピードが大切
同じ時間でどれだけたくさんのことができるか。これが成績の差になって現れます。
ただし、人に見てもらうもの、テストの答案、提出する宿題、漢字の問題などは時間をかけすぎない程度にていねいに書かないといけません。
今言っているのは、人に見せる必要のない復習するときの字のことです。使い分けをしてください
また、汚いと不正確はちがいます。汚くても正確に書かないといけません。自分で書いた字を見まちがえてミスを誘発する字は書いてはいけません。
例えば0と6と8、2とZ、1と7、短いマイナス(-)など。
それから、字が小さいと言われる人。必ず直しましょう。小さい字を書く生徒はミスが多いです

ちなみに、
赤青緑のボールペンに黄青緑オレンジのラインマーカーを使ってそれは美しい、まとめノートを作る生徒がたまにいます。
これは凡人(ぼんじん)のすることです。やってはいけません
それは単なる自己満足の、見せかけだけの"お勉強"です。こういうノートを作る生徒はきまって成績は悪いものです。
なぜかと言うと、時間をかけてきれいなノートを作ってそれで終わり。になるからです。
勉強というより、きれいなノートを作ることで「あー、今日はいっぱい勉強した!」と物作りをする職人のような自己満足で終わってしまい、ノートを活用しないのです。そのノート売るつもり?と言いたくなります。
きれいなノート作る時間があるならその時間で汚く走り書きして書いて覚えることに使いなさい。
時間をムダに使ってはいけません。

姿勢
集中しているときは背すじが伸びています
速音読をしているとき生徒の背すじは自然とピンと伸びています。集中がとぎれているとき、だらけているときは背中が丸くなっています。
では逆に、勉強するときは意識して背すじをピンと伸ばしてやりましょう。深い集中状態に入るスイッチになります


超速音読(ちょう そくおんどく)

速音読になれてきたら次の段階に移ります。
速音読のスピードをさらに上げます。
プロのアナウンサーがどれだけ早口で読んでも、人の目が文字を追うスピードには追いつけません。
ですから、読んでいるときの言葉は言葉になりません。となりで聞いているとブツブツブツかまくらシュシュシュこのころシュワシュワほうじょうシュワシュワがシュワシュワシュワしました・・・のように聞こえます。
北斗の拳のケンシロウがアタタタタタタタ・・・と100連発突きをするとき速すぎて手が見えないようなものです。  これもちがうか(笑)
大きな声で読むとスピードを上げることができないので、小声で読みます。声をだすことは脳を刺激するので黙読ではなく、音読です。
目が文字を追うスピードにめいっぱい追いつくようにシュワシュワ読んでください。逆に言うと、隣で聞いている人が聞き取れるような読み方はまだまだ遅いのです。何言っているのかわからないくらい速く読みます。
これが「超速音読」です。

いきなりは無理です。読めても頭がついてきませんから、まずは速音読に十分時間をかけて慣れてから徐々にスピードを上げていきましょう。
1ページ覚えるのに何分でできるかとか、短期目標を自分で定めてチャレンジを楽しむといっそういいと思います。


英語の勉強の仕方
単語の覚え方
単語を覚えるやりかたは昔から人それぞれが努力する中で自分流のやり方を見つけてやってきました。
何度も書いて覚えるのが結局は短時間で正確に覚える方法なのは昔も今も変わりありません
このやり方で覚えないといけないというものではありません。でも、なかなか覚えられないとか、勉強しているのにいつも単語がまちがう、という人はやり方を変える必要があるでしょう。

スペル(アルファベットの並び)と発音にはある程度規則がありますが、その規則は多種多様で、それを説明しても覚えられないと思います。
そういう規則は中学で習う千個ぐらいの単語を覚えた後で学んで初めて効果のあるものですから、今はふれません。

英単語を3つのグループに分けると、
(1)読みとスペルが同じ、または似ているもの
pen, desk, hit, put, swim など。こういう単語は覚えやすいですね。読み方と意味を覚えるだけでほぼ書けます。

(2)ローマ字読みできるもの
本当の発音とはちがうけれど、ローマ字読みができる単語は、正しい発音を知ったうえで、ローマ字読みで覚えるのも一つの方法です。必ず正しい発音を覚えてからにしてください
orange(オレンジ)をオランゲ、 guitar(ギター)をグイタル
Sunday(サンデイ)をスンダイ、 Monday(マンデイ)をモンダイ
take(テイク)をタケ、come(カム)をコメ、came(ケイム)をカメ
などです。ローマ字読みしながら何度も速書きして覚えます。

(3)ローマ字読みしにくいもの
速音読で20回連続で一気にスペル読みします。一部分ローマ字読みしてもかまいません。
例えば、vacation(ベケイション)ならバカ・ティ・アイ・オー・エン。 バカ・ティ・アイ・オー・エン、バカ・ティ・アイ・オー・エン、バカ・・・・早口言葉のようにつまらずに読めるまで声をだして連続20回読みます。手抜きして5回でやめないこと。今やっていることは楽する方法ではなくて確実に覚える方法です。とにかく速く、何度も読むことがポイントです。
Saturday(サタデイ)ならサ・ティ・ユー・アール・デイ と。
beautiful(ビューティフル)ならビ・イー・エー・ユー・ティ・アイ・フルと。
egg(エッグ)ならエッ・グ・グまたはエッ・ジー・ジー と
早口で言えるようになったら、こんどは紙やノートに英語を書いてみます。口から出てくるとおりにアルファベットを書けばよいのだからすぐ書けるはずです
記憶を正確にするために、英語と日本語セットで10回ほど早書きします。vacationをbacationと間違ったりするので、必ず書くことまでやらないといけません

高校生なら、大学入試用の英単語集を毎日個数を決めて覚えていると思いますが、単語集に付属、または別売のCDを携帯プレーヤーにダビングし、日々自分が決めた個数分をリピート設定して通学の行き帰りに繰り返しずっと聞くというのも補助手段として良い方法です。5~10個ぐらいのリピートが良いと思います。
これはメインの手段ではありません。聞くだけで覚えようとすると効果を感じられず挫折、失敗します。
速音読、速書きで覚えた単語を繰り返し、繰り返しイヤになるほど聞くことで記憶が定着し、忘れずにいれます。寝ながら聞くのも良いです(睡眠学習法)。繰り返しますが、全く新しい(まだ全然覚えていない)単語を聞いても効果はあまり期待できません。次に述べる教科書本文や理科社会の暗記ものを自分で録音して聞くのも良いです。

教科書暗記
文法は問題集でも勉強できますが、英語独特の表現、言いまわしは例文を暗記するのが一番良い方法です。
英語の教科書は単語も文法も言いまわしもすべて詰まった例文集のようなもので、高校以降の英語の基礎になります。丸暗記しましょう。
言語は考える科目ではありません。日本語のように頭にしみこんでいなければなりません。
英作文が苦手とか、単語の並ぶ順番がわからないとか思っている生徒は頭にしみこんでいる例文がすごく少ないからです。

教科書の暗記を続けた生徒は高校で必ず伸びます
逆に暗記せずに文法ばかりやってた生徒は高校で伸びなくなります。大学入試を念頭に考えると中学生のあいだにできるだけたくさんの例文を暗記しておく必要があります。

学芸塾の生徒は教科書の本文訳、英訳のプリントがありますが、塾生でない人は自分で日英帳を作ってください。
学校のノートとは別に専用の日英帳を準備してください。ふつうの大学ノートでよいです。

ノートの左のページに教科書の英文を一文(ピリオドからピリオドまでの文)ごとに改行して写します。
このとき写し間違いがあると後の勉強に影響があるので、写し間違いがないように慎重にていねいに写すこと。
右のページには英文に対応する日本語訳を書いていきます。
このとき、教科書ガイドにのっているきれいな意訳を写すのではなく、文法どうりに自分なりに直訳した日本語を書くこと
書いた日本語は間違いがないか先生に必ずチェックしてもらうこと。あるいは学校の授業中に日英帳を開いて先生の説明を聞いて自分の訳を訂正すること。
中1生は学校で習ったあとで作ってもよいですが、中2、中3生、高校生は学校で習う前に予習として作るとよいです。
この場合は日本語訳を白紙で持ってきて、塾の先生に訳を教えてもらってそのまま写すのでは意味がありません。
自分で単語を調べて、自分で日本語訳をすることで、同時に長文読解問題の練習になります
つまり、実テ、入試のための勉強と定期テストのための勉強が同時にできて能率が非常によいです。
中間テストの点も上がるし、実テや模試の点も上がる、といいとこずくめです

ノートを作って満足して終わってはいけません。日英帳はこの後説明するように活用するために作るのですから。

では、日英帳の活用の仕方。ここからが本題です。
前に説明した理科の一問一答問題の暗記法とほとんど同じです。
(1)英文を5行ぐらいずつ区切って、つまらず、早口で読めるようになるまで速音読で何度も読みます。

(2)次に、左の英文ページを下敷きで隠して、右のページの日本語を見て英文が言えるように練習します。考えて言えるようではダメです。一文ずつ日本語を見て、英文が言えなかったらすぐ左ページをみて、10回ぐらい速音読します。
次の行も同様に。5行すすんだら、1行から5行まで通してやります。
言えたら、5行から10行目を同様に。
1ページ覚えたら最初から1ページ通してやってます。

(2)次に左の英文を隠して、右の日本語を見て別のノートか紙に英文を書きます。書けなかったら、何回も早書きして覚えます。
*1ページ全部が無理だったら、3行、あるいは5行ぐらいずつ毎日やってもかまいません。

最終的に、右の日本語ページを見て英文がスラスラかけるようになるように頑張ります。ここまでやれば、単語も覚えているし、文法も、前置詞の使い方も、言いまわしもすべてマスターしたことになります。
これを続ければ英語の力もテストの点もまちがいなく、飛躍的に上がります。

次は英文法、数学、算数について説明しますが、今回はここまでとします。
つづきは「その3」をご覧ください。
(その3はできれば近いうちに公開します)

See you!