それは、それは穏やかな
うらら春日の昼下がり
物憂くゆれる陽炎に
遠い記憶の揺り返し
唯独り、唯独り
何を証そうか 春風に

ここは何故か懐かしい
街を見渡す土手の上
川の流れは瀬を速み
はやる心を煽るもの
人恋し、人恋し
誰を探そうか この街に

旧い家の縁側に
小さく座るおばあさん
あなたの眼差し、その先で
残り梅の花が散る
甦る、甦る
花に映した 遠い日々

殊更に、殊更に
何を証そうか
藍の甍に白土塀