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海野系ゆず

「海野」 はまた、当家の実生柚子の古木から選抜され、果実の特性が良い事から人気を呼び、
徳島県内外で広く栽植されている柚子の一系統名でもあります。

現職時代、徳島県の柚子生産技術の向上にご尽力され、
「海野」を柚子系統の一つとして作り出された 音井 格先生にご寄稿をお願いしました。



「海野(かいの)ゆず」 が世に出た由来
                                 ゆず研究家 音井 格

 昭和40年より丹生谷地域(那賀川中上流域)でカラタチに接木した、柚子栽培が盛んに
なりました。そこで良い実がなる柚子の木を選び出し、その優良樹を母木とし接木する「穂木」を
とる事になりました。
 実生柚子が1万本以上あるといわれている丹生谷地域に入り、1本1本柚子を調査することに
なり、中流域の相生、日野谷地区から上流域の上那賀地区へと、数日に渡り調査を進め、
海川地区へと入りました。
いつものように調査していて、畑の下の方に窪んだ所がありそこに1本の柚子が鈴生りになり
枝は弓のようにしなっていました。 近寄って見ると、コハン症が全然無く美しい果実でした。
これは良い柚子を発見したとわくわくした気分になりました。近所の人にこの柚子の
持ち主(園主)を尋ね、海野荒一氏である事が判り、了解を得てこの樹に優良個体番号を付けました。
 翌年の春、穂木を貰って柚子苗木を育成しました。
カラタチ台木に接木された柚子が、本格的に果実が成りだした5年後に比較検討したところ、
果実はやや小さいがコハン症が全然無く綺麗。収量性も高いことにより優良系統であることが
多くの人に認められ「海野ゆず」と命名され一般に普及することになりました。
 普及当初は、果実が小さいと生産者から敬遠ぎみでしたが、海野ゆずは小さくも無く、
中玉で近年需要が高い売れ筋階級の大きさの果実であることが認識され、
海野ゆずの苗木の注文は毎年多く、栽培面積が拡大され、生産量も毎年増加しつつあります。

 海野ゆずの生まれたところ、すなわち海野農園は海抜400mで雨が多く気温が低い、
そんなところで栽培したゆずは、なんとはなしに垢抜けしています。
搾ったゆず酢は香りが強く、酸味も高くすばらしいものです。






                    Kaino Yuzu