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視察目的
視察場所
生涯学習について
掛川市教育委員会、教育総務課・社会教育課
掛川市議会事務局、総務部・企画人材課

視察目的
【生涯学習について】
1.掛川市の生涯学習運動の発想の原点
 (1)過疎地の村づくり、人づくりから生涯学習運動ヘ
   随所の時代という時代認識に立ち選択的定住民の誇りをもち過疎化を乗り越える

   ・哀しい矛盾の図式と東京一極集中問題
   ・『随所の時代』各地域がその土地の特色に従ったまちづくりを
   ・このまちが好きだから住む『選択的定住民』の多いまちへ

 (2)教育の原点に帰ること――教育に関する二つの誤解、先入観・偏向を正す
   ・自然と地域と両親を乗り越える教育から、自然と地域と両親を学び尊敬する教育へ
   ・大人は教育が済んだものでない、教育は学校だけでするものでない
    生きることは自己教育である
    
――自ら成長するものだけが人をよく成長させる

2.なぜ生涯学習運動をするのか
 (1)個人一人ひとりにおける生涯学習の必要性
   ・学歴社会を乗り越えるために
    ――学業成績だけでなく、その人が一生涯に何を学び続けたかで評価
   ・人生を楽しむために
    ――自由時間、余暇時間を活用し自己充実(自己実現)をはかる
   ・時代の動きに乗り遅れないために
    ――技術革新、高度情報化、国際化に遅れをとらない
   ・高齢化社会を幸せに生きていくために
    ――寝たきり老人、痴呆老人にならない
   ・よりよい地域づくり、まちづくりのために
    ――よいまちをつくり住むことが、潤いのある豊かな人生を育む

 (2)地域、都市における生涯学習の必要性
  <生涯学習市民、選択的定住民の多いことが都市(まち)の活性化のカギ>
   ・いいまちづくり、いい土地利用をするために
    ――住むに値する都市
   ・いい人間関係、いい人生劇場をつくるために
    ――頼るに値する社会
   ・いい文化を磨き、いい後継者を育て、いい地球といい未来を残すために
    ――信ずるに値する未来
   ・いいとはどういうことか、幸せとはどういうことかを考え続けるために
    ――公平、公正、安心な地域、


【都市システム】
3.掛川市の生涯学習運動の概念
 
(1)掛川市の「生涯学習運動」は、まちづくり、人づくり
 
(2)一人ひとりの生涯学習活動で自己を高めた市民が、このまちで活躍し、さらにこのまちをよくする担い手、主体になってもらうこと
 そのために、市民にとって「生きるに値する都市」になるよう、まちづくりを進めること。

4.運動のあゆみ
  <成功体験を積み重ねることによるムードづくりとPR>
 S52.9.18 榛村(しんむら)市長就任、1年間に市民対話集会200回
 S52.12 新幹線掛川駅設置構想を市議会に発表
 S53.2.24 掛川学事始集会(市民総代会の前身)、生涯学習運動の提唱
 S53.4.7 モデル定住圏の指定
 S53.4.15 市長レポート第1号の発行、情報公開と問題提起
 S54.4.1 全国初の「生涯学習都市宣言」 市制25周年記念
国土庁からの助役
 S55.4.1 
 (〜H元年度)
生涯学習18項目10ヶ年 3,000億円プランスタート
 S58.4.1 生涯学習センターオープン
 S59.4.1  市立総合病院 新設開業
 S63.3.13 新幹線掛川駅開業
 H2.4.1 生涯学習10ヶ年計画パートU5,000億円プランスタート
「地球・美感・徳育」都市宣言
 H3.6.1 「掛川市生涯学習まちづくり土地条例」施行
 H5.12.21  東名掛川インターチェンジ共用開始
 H6.4.3 本格木造復元「掛川城天守閣」開門
 H7.9.26 「戦争と平和の100年生涯学習決議」
 H8.5.27 生涯学習の「総本山」と位置付けた市役所新庁舎業務開始


5.実践活動
 <大切なことは、ただ漠然とではなく、意識的、体系的、組織的、計画的、継続的に、
  まちぐるみ、地域ぐるみで願い、実践すること−満場総立ち的に!>

  (1)市民一人ひとりが取り組む自分づくり、ひとづくりの支援のために
 掛川学事始、地域学のすすめ
 ・掛川の歴史、文化、統計などを楽しく学び、誇りに思う自己充実文化人に
 ・広報紙などによる、わがまちの地域資源、歴史、文化、生涯学習の人材
  (2)年輪の集い
 ・成人式以後、10年ごとの節目に人生を味わう催し
  過ぎた10年を振り返り、次の10年への思いを新に
   而立式(30歳)、不惑式(40歳)、知天命式(50歳)、耳順式(60歳)、
   従心式(70歳)、傘寿式(80歳)、卒寿式(90歳)
  各年代別に実行委員会を組織し、自主的に企画、運営、実施
  (記念式典、講座、アトラクション、アンケート調査など)
  (3)1人1芸1スポーツ、1人1業1ボランティア、1人1役1健康法の推進
  ・市民1人ひとりが、何か1つは自信がある、人の手本になれる、貢献できる、役に立つと思えるものをもてるように
   ――自己実現とまちづくりの人材養成促進、
   スポーツフェスティバル、生涯学習推進市民大会の開催

6.学習機会、情報の提供のために
 
(1)女性会議
 ・地方自治を学習して、掛川市の現状と洗練された女性活動をすすめるとともに模擬市議会を通じて女性の立場で提言し、市政に反映
 
(2)生涯学習シンポジウム
 ・昭和54年から毎年開催
   平成8年 「二宮尊徳サミット――ふりかえれば金次郎」
   平成9年 「お茶のサミット」
 
(3)生涯学習メンター(「良き指導員」の意味)の設置
 ・生涯学習推進リーダー(ボランティア)の委嘱(10人)、月に8日勤務、月額38,000円、生涯学習センターに配置
 
(4)(財)掛川市生涯学習事業団の設立と自主事業の展開
 ・市内の文化、体育施設を管理運営する任意団体として昭和58年設立
  (生涯学習センター、美感ホール、掛川城、安養寺運動公園、いこいの広場)
  平成7年度(財)掛川市生涯学習事業団に改組し、自主企画事業を展開中
 
(5)とはなにか学舎(地球掛川学研究所)
 ・市全体を教室に、地域資源に学び、その地域資源をさらに磨き育てていく人材を育成する単位制社会人生涯学習講座(2年制)

7.住民全体のまちづくり推進のために
 
(1)市民総代会システム
 ・自治区3役など地域の世話人を市民総代とし、市政運営の中に位置付け
  地区集会――6小学校区別+1=17会場 10〜11月
     ↓
  地区集会―― 140自治区3役、市3役、部長 4月
  中央集会(4月)→地区集会(10・11月)→予算編成(12月)→控帖
  (4月)→施政方針(4月)→中央集会→地区集会、と回転
  市政の広報、広聴(意見、要望、苦情、アイディアの交流)
  『市長区長交流控帖』ーー地域と行政を結ぶ情報の伝達と記録管理
  ・意見要望を言いっ放しや聞きっ放しにしない、考え方、方針を明示
 
(2)三層建て生涯学習施設ネットワーク
  昭和58年 中央生涯学習センター完成
  それに併せて三層にわたる生涯学習施設ネットワークを構築
  ・「第三層」
   中央施設群(全市民が集まるところ)
    芸術、文化、歴史 
    中央生涯学習センター、美感ホール、掛川城
    体育、スポーツ 
    ――いこいの広場、カルチャーパーク、安養寺運動公園
    健康、医療 
    ――――市立総合病院、健康安心サロン、徳育保健センター
    自然、余暇 
    ――――居尻キャンプ場、明ケ島キャンプ場、市民の森
    ごみ、資源、行政 
    市役所、清掃センター、衛生センター「生物循環パビリオン」、消防署
    交通拠点 
    新幹線掛川駅、東名掛川インターチェンジ
    産業関係 
    商工会議所、農協
  ・「第二層」
   学区施設群(学区、旧村ごとの住民が集まるところ)
   小学校16、地域生涯学習センタ-19 、中学校6、幼稚園12、保育所3、農協支所など
  ・「基層(第一層)」
   自治区施設群(区の住民が集まるところ)
   140自治会、集会所、公会堂、公園、お寺、お宮など
 (3)生涯投票率の向上
 (4)全市生涯学習公園化計画
 (5)「掛川市生涯学習まちづくり土地条例」の制定

8.生涯学習市民、選択的定住民が住むに値するまちをつくるために
 <あらゆる行政の施策分野における良質なまちづくりの実践>
 (1)新幹線掛川駅の実現と駅前広場の美学
  (昭和63年3月13日開業、総事業費 135億円)
   駅は、出会いふれあいの場であり、情報センターであり、その都市の顔である
   市民募金30億円の達成とまちづくり成功体験共有の意義

 (2)掛川インターチェンジ
  (平成5年12月開業、総事業費 43億1千万円)
   全国 502番目にして初めての城下町風デザインによるこだわりの景観八景

 (3)潤いのあるまちづくり、歴史と文化が息づくまちづくり
   駅前通り線 昭和58年11月「うるおいのあるまちづくり第1回自治大臣賞」受賞
   生涯学習プラザとして、混植並木、木レンガ、無電柱化、木柵べンチを市民とともに

 
(4)掛川城天守閣復元
 (平成6年4月開門、総事業費 10億8千万円)
 400年前の山内一豊公築城時の天守閣を、全国で初めて本格木造で復元
 城下町風まちづくり:掛川城公園、城下町風町並みづくり、駅天守ギャラリー、観光物産センター「茶処こだわりっぱ」、大手門駐車場
 
(5)生涯学習総本山パークづくりと全国への情報発信基地
 質において日本一の新市庁舎
 生物循環パビリオン(し尿処理場)
 下水処理場
 この三点セットで新行政ゾーンの建設(歓迎施設と迷惑施設を一体的に)
 生涯学習総本山パ一クとし、全国への生涯学習都市情報発信基地とする
 
(6)生涯学習10ヶ年計画パートU
「新18項目のテーマとプロジェクト」の実践

 ・上記@〜のほか、生涯学習をまちぐるみですすめるため、10年ごとの区切りをつけながら、あらゆる施策について2回目の18項目のテーマとプロジェクト策定
 ・一人ひとりの市民が、好きなところ、得意とするところ、大事だと思うところに参加し、実践して、18項目すべてを全市的に推進

9.住民と行政相互の信頼関係の構築のため
  (1)市長の寸感千字による市政の課題や基本方向の衆知
(2)市民対話集会(随時) 3,200回(3,000 人・分を単位として)情報提供、レジュメ説明会『情報は力である』
(3)市民総代会システム
(4)行政手続条例(H9.4.1施行)
(5)情報公開条例(制定検討中)
(6)広報広聴機能の充実(インターネット、広報モニターなど)
(7)その他あらゆる行政施策の確実な推進(実績と成功体験の積み重ね)

10.今後の課題と展望(生涯学習社会の実現に向けて)
 (1)『竹やぶ生涯学習』(何だか知らないが上の方でザワザワしている)
   状態から、『竹の子生涯学習』(みんな何かをやりだした)状態へ

    新人類や縁なき衆生への仕掛け―――生涯学習市民を増やす、マイナス情報を
    減らす(生涯学習の禁句→どうせ私は、今さらやったって、いい歳をして)

 (2)生涯学習18項目のテーマとプロゼェクトのPRと深化、実践
    しっかりした人間、家族、地域、社会を築くこと、それが自分のため、
    「しっかりした」とは楽しい、面白いということ

 (3)幼、小、中、高校の先生は、生涯学習の実践者、専従者
   先生は魅力ある存在、尊敬される存在、学校は地域活性化の多目的な拠点

 (4)三層建て生涯学習施設ネットワークのソフト化、インテリジェント化
   担い手と情報

   ―――PTA、婦人組織、自治区役員、消防団など
 (5)市役所、市立病院、教育委員会のリーダーシップ
   ―――信頼される市職員
    やる気と志と郷土愛で2倍、チームワークと縦割り無しで2倍
    リーダーシップと目標明示で2倍――― 2×2×2=8倍の生産性を

 (6)民活と企業の教育力(雇用、税収、文化、スボンサー力)の活用
    塾、ピアノ、華道、スポーツなどの学習機会の提供
    従業員に対する地域教育(掛川学のすすめ)、レクレーション活動

 (7)一生涯の評価、顕彰方法
   ―――やる気、努力、精進の深さ、高さをどう認めるか。役に立つ、もうかる、記録のため
   ということだけでなく、楽しいからやる

 (8)上記課題を踏まえた掛川市の生涯学習運動理念の総合的な普及と住民参画の
  まちづくりを促進するための仕組み、仕掛けづくり

  (ハード面のまちづくりからソフト面でのまちづくりへ)

11.質問事項
 (1)生涯学習の推進体制・組織は?
   市長部局の総務部企画人材課で生涯学習推進のプロジェクトチームを編成
   部長会、部課長会、補佐会、係長会、主任会を随時している。
   組織全体が生涯学習を推進している。

 (2)学習の機会や内容提供等の、産・官・学の連携は?(大学はなし)
   ・企業、個人事業者との連携は、施設見学などはしているが情報提供は、まだしていない。
   ・行政は、市関係は連携しているが、県、その他の市町村村などとは、まだしていない。

 (3)市民への情報提供は?
   広報(月2回発行)、チラシを活用している。
 (4)市民からの学習相談等の対応は?
   生涯学習メンターを生涯学習センターに配置している。
 (5)生涯学習施設の連携は?
   地域生涯学習センター連絡協議会を定期的に開催している。
   (昭和63年公民館より名称変更 各自治区で運営、
   年間運営費のうち約140万円市補助)


平成10年(1998年)2月19日〜2月20日、8月18日視察にて
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