はじめに 私の政策 今までの視察先 議事録 政策提案広場



視察目的
視察内容
生涯学習都市づくりを中心にした「まちづくり」について
生涯学習の推進方法と
公民館のあり方について

視察目的
 『まちづくり』という標語が地方自治体の中で流行している。なぜか。
 大都市・東京に政治、経済をはじめ様々な機能が一極集中した。一方、田舎の小さな地方自治体では、高齢化、少子化の急激な変化を受けて、この先どのような生活が待ち受けているのか、不安が増すばかりである。
 そこで、展開され始めたのが、CI手法を導入したまちづくりである。偉大な田舎において、住民を主体としたまちづくりが進められ始めたのである。住民が、この地域で暮らすことに誇りと生きがいを持つこと、市民と行政がそのような共通のあるべき姿を目指したのである。
 ここ宮崎県都城市は、21世紀の新しい都市像として、生涯学習のまちづくりを推進している。
 今までの経緯と成果、これからの方向性を視察してきた。

まちづくりの今までの経緯
1.「まちづくり」とは何か、新しい時代に向けての模索
 昭和63年に「都城まちづくり検討委員会」の設置を検討する中で『まちづくりをどうするか』について事前検討がはじまった。すなわち「都城とは何か?」について、共通理解が必要であるとの認識が生まれた。
 「都城のアイデンティティは?」を明らかにしていく中で、市行政の遅れ、「盆地根性」の市民性、このような状態から抜け出すことを市民全員の危機意識として共有しなければならない、そして市民全員が共通の目標を持つことが大切である、という考えが強まった。

2.ソフト主導のまちづくりの推進
 地域のあるべき姿を追求し、地域をいかに経営していくかという視点を意識するため民間企業で推進するCI手法(コーポレートアイデンティティ)のCIをシティ・アイデンティティと呼び替え、住民が主役という基本を見つめ直し、新しい行政のあり方を推進することにした。
 市民からみた都城のイメージ、市外の東京圏、大阪圏、福岡市、宮崎市からみた都城のイメージについて、アンケート調査を実施した。それを分析して、新たな都城市のコンセプトを開発し、目標像を創ろうとした。都城の特徴の認識、知名度、イメージ、愛着度、将来の定住希望度など、多岐多様にわたっている。

3.課題分析
 問題点は何か?
 都城市には13万人の市民と豊富な資源がある。しかし他市に比べて抜きんでた魅力性がない。何でもあるが中途半端である。
 合併によってできた市だから「都城市のシンボルは?」と考えたとき、統一性がなく、各地区で足を引っ張り合っている。
 「みやこのじょう」には美しい響きがあるが「都城産」というブランドは全国的に知られていない。ブランド発信力が弱い。
 外から見た都城のイメージは稀薄、緑豊かな自然や田園、人情がある、など漠然としている。逆にこれから自由なイメージを発信できる。
 都市としての最低要素の基盤整備は進んでいるが、商業・文化などの都市の魅力性が乏しく、都会的な魅力に欠けている。
 若年層の愛着度が低い。人口増加が見込めない。

4.組織づくりと役割分担
 イメージ調査結果を発表し、市民全員の問題意識の共有化のために市内各地で説明会を開いた。市長自らの説明もあって意識改革のキッカケになった。
 市役所内の組織として、職員のワーキンググループができ、国内研修を行って、何とかしなければという危機意識に目覚めた。研修先の各地の住民パワーの強さに感激し、都城も住民をいかに巻き込むかが課題であることを痛感した。
 まちづくりは市民と行政が連携して展開すべきであるとの共通認識が高まり、有識者44名の「市民オピニオンリーダー委員会」が組織された。従来の行政主導の委員人選ではなく、幅広い人材を集めた。事務局が作成した原案を承認するだけの委員会でないため、当初は非常に多くの戸惑いがあったが、まちづくりは自分たちで、との意識は非常に強かった。

5.都市目標像に向けて
 職員ワーキンググループと市民オピニオンリーダー委員会が合体した「合同委員会」によって実質的な共同作業に入った。全員が手弁当でボランティア参加であった。この熱意で都市コンセプトと目標像を創り出していった。
 都市コンセプトを、自然・産業班、歴史・文化班、スポーツ・健康班の3つの分科会において検討していった。
 結果、例えば自然・産業班では、つぎのようなコンセプトを作成した。
 自然の恵みを味わい、楽しみ、周遊できる街、そして自然の恵みと産業に支えられた街、自然周遊都市・都城として、広域都域づくり、自然周遊都市文化づくり、市街地づくりを進めていくこと。その展開の可能性として、木造校舎、木造給食食器など具体的な事業展開、また市民運動として市民の森に市民の木を植えるなどの項目。
 次に、都市基本コンセプトをどの様につくるかである。
  自然・産業にスポットを当てると、自然周遊都市・都城
  歴史・文化にスポットを当てると、歴史とロマンの都市・都城
  スポーツ・健康にスポットを当てると、ウエルネス宣言都市・都城
 となる。
 この3つを統合して、「豊かな自然と人間性、そして先進的都市機能にはぐくまれた活力ある都市」を目標イメージ像の基本コンセプトとした。
 次に、コンセプトの表出として、スローガン化に向けて検討に入り、いろいろな視点から評価して「元気都市・ウエルネスタウン」を素案とした。
 なお検討が加えられ、
スローガン『ウエルネス都城』
サブスローガン『人が元気・まちが元気・自然が元気』
となった。
+++感想+++
 地方自治の原点である「市民参加」の掛け声が多く聞こえるようになった。喜ばしいことであるが、実態は、大半が行政主導型である。委員会・審議会に市民の代表が参加しているというだけであり、全くの白紙の状態から意見や提言を求められることはない。
 しかし、ここ都城では、都市の基本コンセプトを作成するため、とても気の長い堅実な方法を取った。結果、市民が積極的に参加するようになった。市職員の意識が変わった。急がば回れ。当事者意識、参画意識が一番大切。

1.都城市CI推進懇話会からの提言、啓発活動
 昭和63年12月22日、都城市CI推進懇話会から市長に、都市の基本コンセプト『豊かな自然と人間性、そして先進的都市機能にはぐくまれた活力ある都市』、そしてスローガン『ウエルネス都城』、サブスローガン『人が元気・まちが元気・自然が元気』との提言が出された。
 平成元年4年から市民向けと市職員向けの啓発活動が始まった。
2.シンボルマークの開発
 デザイン素案の3案を市民アンケート調査をして、決定した。
3.ウエルネス都市宣言
 ウエルネス都市宣言の式を行い、関連イベントを行って意識の高揚を図った。

生涯学習の推進について
 都城市の生涯学習の特徴は「よか・余暇・楽習ネットワーク事業」である。
 「き・ら・り・び・と」と名付られ委嘱された特技指導者が学習を指導する。特製の木造りの「きらりびと奨励証」を受け、その誇りの証しとなる。
 指導者は1回につき\3,000円の交通費が支給される。
 参加者の参加費は\400円である。事務局に7人以上集まって「……のような学習がしたい」と申し込むだけでいい。
 学習場所は、地区公民館、自治公民館、公共施設、個人自宅など身近な場所や施設が活用できる。現在、 164グループが参加している。
 「都城ときめき大学」事業は、これからの生涯学習の新たな可能性の一つである。
 毎月1回、各ジャンルで活躍中の著名人や各界の権威者を講師として招き、新しい知識や情報を得る市民の自由な意思による自由大学であり、そのキャッチフレーズは「一杯のコーヒーを注文するように文化を注文しよう」「未見の我を創造しよう」である。
 募集定員は1,500名、年間受講料10,000円、募集以上の申し込みがあり、上々の成果を生んでいる。生涯学習の新たな可能性、受益者負担の原則が貫かれている。


+++感想+++
 行政は、市民の自発的な学習意欲をかき立てる良質のコーディネーター、企画者である。
 しかし、それ以上の関わりは、生涯学習の基本概念・コンセプトにそぐわない。
「都城ときめき大学」のような事業が鳴門市でできるなら、市民の意識変革の起爆剤になろう。


公民館について
 都城市教育委員会の平成7年度の公民館経営案には、地区の公民館は、その地域の市民生活や生涯学習の場として大きな役割をはたすところである、とうたっている。
 都城市の公民館には、自治公民館があり、その館長は市職員の幹部級がなる。地区の言わば「村長・地区長」の役割を受け持つことになっている。
 生涯学習の場として利用促進の企画立案の能力も必要とされるが、他に地区と市役所を結ぶ重要な仕事がある。街路灯・防犯灯などの切れた電球の取換えから水道、道路管理などを地域での行政の仕事の再先端に位置している。
 地域の事情に明るくなり、仕事が覚えられ、なおかつ地区の世話人さんと信頼関係ができて仲良くなれるので、自治公民館の館長を希望する職員が多い。
+++感想+++
 「地区選出」議員から申し出られた、地域の苦情、提言、要望にはどのように対応するのか?
 この質問に対して、
「地域のことは自治公民館の館長を中心にして地域の人々が対応している」
「議員から申し出られたことには対応しない」

そして、
「そのような地域の細々した事を行政に申し出てくるような議員もいない」
「そんなことより議員は議員の仕事として、すべきことがあるでしょう、市全体の問題について」

 このような返答であった。
「へえぇぇ、ふぅ〜む……」(我が鳴門市では、どうなっているのでしょうか)

平成8年(1996年)5月14日〜5月15日 宮崎県・都城市視察にて
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