序章

春の嵐のような男がいた。

突然吹いた風に驚いたけれど
思いもかけない程の暖かさに心地よくて身を任せた。

気持ちよかった。

いつまでも吹かれていたいような
いたずらでくすぐったい

それは春の嵐

見上げると抜けるような青い空に
あたたかな、おだやかな、包み込むような日ざしを予感させた。

やさしい やさしい 風に吹かれた。



序章
その1「わかれる道」
その2「伝わらない言葉」
その3「踊り続ける人形達」
その4「届かない」
その5 「遠いまぼろし」
その6 「虚像の願い」
その7 「背徳と事件」
その8 「夢を見るなら、良い夢を」
終章