5. 画像の圧縮と画質     5.1 jpeg/gif

5.1 jpeg/gif

前ページ

 デジタルカメラ(デジカメ)で撮影した画像は通常、JPEG圧縮で保存されています。JPEGは作った組織(ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 1、Joint Photographic Experts Group)の略称で、一般的に非可逆圧縮の画像フォーマットが用いられています。可逆圧縮形式もサポートされていますが、特許などの関係でほとんど利用されていません。デジカメでは様々なオプション機能が用いられており、JFIFを拡張して撮影条件などを詳細に記録したExifなどのフォーマットがあります。
 JPEGでは、画像を固定サイズ(8×8画素)のブロックに分割し、そのブロック単位で、離散コサイン変換(DCT: Discrete Cosine Transform)を用いて、空間領域から周波数領域へ変換しています。DCT変換では情報量は削減されませんが、量子化した後、ハフマン符号によるエントロピー符号化により圧縮が行われます。具体的には、低周波数成分にエネルギーが集まることを利用して、量子化による情報量削減と、エントロピー符号化での圧縮率向上を図っています。普通の画像をそのまま量子化してしまうと大きな画質劣化が生じるのに対して、重要な成分が局所的に集められた後では元の画像の性質を残したまま量子化が可能であり画質の劣化を防止できます。「標準画質」や「高画質」は、量子化レベルの設定の差で決まります。
 JPEGではブロック単位で変換を行うため、圧縮率を上げるとブロックの境界にノイズ(ブロックノイズ)が生じます。また、周波数変換の過程で高周波成分が消失し、画像の急峻な変化を十分に表現できず、エッジ周辺ではモスキートノイズと呼ばれるノイズが生じることがあります。特に赤には弱く、小さくすると赤の部分でノイズがよく発生します。圧縮率は方式によりばらつきますが、1/10-1/100程度となります。写真などの自然画の圧縮には効果的ですが、変化の急峻なエッジが比較的多いコンピュータグラフィックスには不向きです。JPEG画像をつなぎ合わせて動画にした方式をMotion-JPEGと言います。
 
 ジフ(GIF=Graphics Interchange Format)はCompuServeのPICSフォーラムで提唱された画像ファイルフォーマットの一つで、LZW特許を使用した画像圧縮が可能です。GIFは256色以下の画像を扱う歴史の長い可逆圧縮形式のファイルフォーマットで、WebブラウザではJPEGと並んで標準的にサポートされています。同一色が連続する画像の圧縮率が高くなり、イラストやボタン画像など、使用する色数の少ない画像に使用されます。
 GIF規格には2種類ありますが、現在使われている規格は1990年7月30日に公開されたGIF89aで、GIF画像ファイルの最初の6文字は「GIF89a」です。インターネットの末端接続サービスはブロードバンド主体になるとともに、端末であるパソコンの表現能力の飛躍的な向上により、フルカラー対応の圧縮形式(JPEGやPNGなど)の需要が高まり、256色までしか対応できないGIFの使用頻度は減少しています。上に示した、各種画像を見比べれば、GIF画像の劣化が良く分かります。

次ページ   2014.10.10作成 2017.1.25改定

小川技研サイト
PNG 「ピング」

・PNGは特許使用解釈に不安のあったGIFに替わるライセンス・フリーの画像形式として開発されました。

・圧縮率が高く、同じ内容のGIF画像より10%〜30%程度ファイルサイズが小さい。

・可逆圧縮形式を採用、フルカラーにも8ビットカラーにもでき、複数の透過色を指定できます。ただしフルカラーではJPEGよりファイルサイズが大きくなり、また、アニメーションにできません。