5.画像の圧縮と画質 5.4 人間の目の輝度ぼけ感度特性

5.4 人間の目の特性(輝度ぼけに対する感度)

前ページ

 輝度の強弱に関して人はある程度敏感に認識できますが、色調の差についてはあまり敏感ではないという特性があります。まず、RGB画像をYUV画像に変換し、輝度(Y)画像のみ(3x3),(5x5),(7x7),(9x9)の領域で平滑化し、それを元のRGB画像に戻した例を下図上段に、色調に関して同様な平滑化処理をした例を下図下段に示します。輝度に関しては、上段の画像がぼけたことが明瞭に判別できます。一方、下段の色調を平滑化した画像に対しては、ほとんどその変化の度合いが気になりません。

 上の例は、色調が平坦な画像の例です。一方、下の例は文様が複雑に変化している画像の例です。上段下段は、上の図と同様に処理しています。紋様に明瞭な差異の存在する複雑な画像ではあっても、実際には色調の変化はさほど大きくない場合が多いことも相まって、輝度平滑化と色調平滑化に対する判別能力の差は際立ってきます。このような人間の感覚の特性を加味して、YUV系に変換する際、Yの情報はそのまま用い、UVのデータのみを間引いて用いることにより、見かけ上の画質の低下を伴わずにデータ量の圧縮が行われています。
 最近の画像処理はほぼ全て自動的に最適化されることが多く、目にしている画像がどのように処理されているのかが分からない場合がほとんどです。絵を鑑賞する立場では便利で良いのですが、画像データを扱う立場になると、全ての処理がブラックボックス化されることに一抹の危惧を感じています。この危惧は、現在簡単に利用できるようになっているAIに関しても感じています。

次ページ   2014.10.10作成 2026.01.18改定

小川技研サイト
YUV色空間

・YUV色空間は輝度信号Yと2つの色差信号UVとを使って表現されています。
・ソニーのベータカムVTRで使用された後、高画質アナログ映像信号の伝送や、デジタルビデオの記録方式として使用。
・人間の目は色の変化に比較的鈍感なので、帯域を減らす際に色差成分のみを間引く方法が用いられています。

偶然と必然

 文献資料を捨てた後に、捨てた資料の必要性を感じることは数多くあります。捨てなければ記憶の奥底深く沈殿し思いださなかったはずです。捨てることで記憶の表面付近に浮かび上がり、その後の状況で必要性を再認識します。
 現在集中して読んでいる意識や認識に関する本には、18歳頃の多感な年代で読み記憶に残っている本の多くが、参考資料として記載されています。読み返して確認すべきなのでしょうが、時間的に無理なような気がしています。
"建築家の読書塾", 難波和彦/編, みすず書房(2015)を読み、現在読んでいる本あるいは過去に読んだ本が非常に多く掲載されているのに驚きました。認識・意識と人の歴史を考える上で、住居・建築は食と共に欠かせない案件なので、当然といえば当然です。