6.画像の演算と離散化誤差     6.3 回転移動

6.3 回転移動

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 任意の軸回りの回転移動について整理します。右図に示した点P(x,y,z) を点Q(xQ,yQ,zQ) を始点とする単位ベクトル n=(nx,ny,nz) に対して時計方向に θだけ回転した点P’ (x’,y’,z’) への変換の場合には、以下の手順に分解して整理できます。
手順1:点Q (xQ,yQ,zQ) を原点に平行移動する

手順2:単位ベクトルn=(nx,ny,nz) をz軸回りに α だけ回転してy−z平面内に移動する(n1ベクトルとする)

手順3: n1ベクトルを x軸回りに βだけ回転して x軸と一致させる(n2ベクトルとする)

手順4: n2ベクトルを z軸回りに θ だけ回転する

 回転や拡大縮小あるいは平行移動などを要素ごとに分解して行列を作成して順次掛け合わせることで最終的な変換が次式のように完成します。このように線形変換の組合せで表現できることで見通しがすっきりします。

次ページ   2014.10.10作成 2017.6.27改定

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図形の移動

・図形の「大きさ」と「形」を変えずに、「場所」だけ変えることを図形の移動といいます。
・平行移動では、どの点も「同じ向き」「同じ長さ」だけ動きます。
・対称移動では、対称の軸と呼ばれる直線を折り目として折り返して移動します。
・回転移動では、回転の中心となる点のまわりにどの点も同じ角度だけ回ります。
・点対称移動は、回転移動のうち特に180゜回転の場合をいいます。

非対称性

・分野の異なる本を読むのは気分転換に良いものです。次の本はお勧めです。
生命世界の非対称性, 黒田玲子, 中公新書(1992.10) ISBN 978-4-121-01097-1
・キリギリスの翅の構造は左右で異なり、すり合わせたときに美しい音色が出るようになっている
・ふくろうの耳は左右非対称になっており、遠くにいる獲物の位置を一度以内の角度で認識できる
など、面白い話題が満載です。