7.人の目と機械の目     7.5 領域の判別

7.5 領域の判別

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領域の判別(クラスタリング)
1)YUV変換の際に輝度(2バイト)のヒストグラムを作成し、平均値と中央値の大きい方の値(i0)以下の集合の平均(m)と分散(σ)を求め、m+3σの値がi0より小さい場合には、i0にm+2σを代入して、m+3σの値が大きくなるまで収束計算を繰り返し、収束した時の値(mbと2σb)を背景集合(番号1)の平均値mbと分散2σbとして記録しておきます。右図左に前景を黄色で表示し、背景と判断した集合を青で表示した例を示します。確実に背景と判断できる領域のみ青く表示しています。
2)次に高輝度のアーク領域の判断基準を求めます。(1)の最初に求めた平均値より輝度の高い集合の平均と分散を求め、背景部の計算とは逆に、m−3σの値が基準値より小さくなるまで収束計算を繰り返します。収束した時のmと2σの値をアーク集合(番号2)の平均値と2σとして記録しておきます。右図右に計算結果を示します。電極の一部と母材部でアークが反射されたところもアークと判断されていますが、おおむね高輝度部分がアークと判定されています。
 アークと思われる輝度範囲の最小値を中間値(=128)に変換して、赤色で表示します。また、背景は現時点では意味を持ちませんので、背景部の最大値を0に変換します。右図左に計算結果を示します。アーク領域の最小値206を128に変換したため溶融池と電極が暗くなりすぎています。また、アーク中心部輝度はほぼ255と飽和しているので、不自然な表示となっています。画像の明るさを変化させる方法として前述した、ガンマ変換という方法があります。右図右にアーク最小値を128とし、低輝度領域をγ=0.5で、高輝度領域をγ=2表示した例を示します。低い輝度部は画質が改善されていますが、中間部と高輝度部が不自然になります。これは、アーク最小値が実際には206なのを128にしたために生じた現象です。
 右図はアーク最小値を206のままに固定し、低輝度側では1/2、高輝度側では2のγ補正をした例です。この画像は人の眼のS字型感度特性に対応させた例となります。このように輝度特性を人の眼の感性に適応するように設定することで、見かけ上の画質はかなり改善されます。

次ページ   2014.10.10作成 2017.1.26改定

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ガンマ補正

・モニタはRGBの信号をそのまま画面に表示するわけではありません。写真のフィルムと同様に、モニタにも特性があり、信号と画面の明るさは必ずしも比例しません。

・一般に、RGBの値をx、画面の明るさをyとしたとき、モニタの特性は y = x^γ で近似できます。γ(ガンマ)の値の標準は2.2です。

・RGBの値をそのままモニタに渡すと、画面が暗めになり、RGBのバランスが狂い、色を正しく表示できません。モニタ特性をできるだけ直線に近づける補正をガンマ補正といいます。

・普通、デジカメやスキャナで得られた画像のRGB値は、標準的なモニタで自然に表示されるように、あらかじめガンマ補正が施されています(γ=2.2)。