7.6 輝度変換
画像がカラーの場合には、ヒストグラムの平坦化を実施すると色調が変化する場合が多く見られます。右図左にRGB画像の元絵、右図右にヒストグラム適正化を施した例を示します。これはRGBの色ごとに正規化した例です。アーク領域の色調が変化しているのが分かります。この画像からアルゴンアークは赤系統の色が多く、溶融金属表面での金属蒸気による発色は緑系統が多いことが分かります。意識的にRGB各自にそれぞれ輝度変換を実施して金属蒸気とアルゴンアークとの差異を強調することも考えられます。
右図左に各色のうち、最大値の大きい色と同じ輝度変換式を用いて表示した例を示します。この場合には、あまり明るくならず、色調はほとんど変化しません。右図右にYUV変換した後、Yについてのみ輝度変換を実施し、その後でRGBに逆変換した例を示します。この場合には、全体的に明るく変換できていることが分かります。このようにYUV座標にいったん変換した後、輝度座標についてのみ輝度変換を実施し、逆変換で元の画像に戻す操作が必要となります。
右図右と右図左は色度をそれぞれ1.6倍とγ=1/2の関係で強調した例です。上図右と併せて3種類の画像は全て、輝度(Y)を共通にして、色度(U,V)を変化させた例です。色合いを一定という条件で色度が変化すると、RGB画像での明るさもかなり異なってくることが分かります。
この節では同じ一枚の映像データの表示手法を変化させた例を示しました。実際には、モニタの特性や印刷の特性により同じカラー映像がまったく異なって表示される場合が多々あります。統一規格で表示結果があまり異ならないようになっていますが、それらは自然な映像を基準に選定されており、アークなどの特殊な輝度分布を持った映像では、モニタ種類により微妙に変化してしまうことを知っておくべきなので、例示しました。
次ページ 2014.10.10作成 2017.12.31改定