9.GMA溶接現象の解析

9.6 液滴成長挙動(Underconstruction)

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 前節で高輝度である液滴領域を抽出して、その影響を除去し、本来のアーク領域の挙動を解析する手法を紹介しました。本節では液滴がワイヤ先端で成長し離脱する過程の時間的挙動を理解するための解析手法に関して説明します。本来液滴の成長過程は近赤外波長を利用して撮影する必要があります。カラー映像で解析できる範囲について、解析手法を紹介します。
 液滴が成長して離脱する過程を解析するために検討した領域範囲と、その領域での代表的な特徴値の画像を上に示しています。上図(a−c)の最大値、最小値、平均値については前節までに紹介をしたものと同じ処理をしています。(d)rmsは各画素の分散値について画像化して示しています。分散値はその違いが眼に見える範囲の値では無いので、各色で最大値となる値を最大輝度255に変換する正規化処理をして示しています。(a)maxの最大値画像はあくまで最大輝度を使っているため、最も大きく成長した液滴の存在した範囲を示しています。一方、分散値は変動の大きい領域を表し、ワイヤ下部の明るい領域が平均的な液滴の直径に相当します。黄色の一点鎖線が平均的な液滴サイズになります。分散値や平均値画像及び最大値画像のワイヤ先端近傍の輝度が変化している領域と良い一致をしています。
 (e)max,(f)min は各時刻の輝度の総和が最大となった時刻の画像、最小は総和が最小になった時刻の画像を示しています。輝度が最小となった画像(f)はたまたま液滴がワイヤから離脱する直前の映像となっています。この時点では液滴はワイヤ先端の非常に小さい領域で保持され重力で液滴は下方に引き伸ばされた状態になっています。離脱した後は自由落下になり、液滴形状に主に作用する力は表面張力であり、液滴は上に引っ張られていた力がなくなったことにより、形状は上下方向に伸縮する過渡的な振動を起こします。

 上図に液滴が離脱してから次に離脱するまでの1周期挙動の一例を示します。ワイヤから離脱した溶滴はほぼ全面的に明るく表示されています。一方、ワイヤ先端で成長している溶滴は下半球領域は明るく撮影されていますが、上半球は離脱する直前までは比較的暗く撮影されています。溶滴は高温であるほど表面張力は小さいため、液滴最下端の高温領域からワイヤ側へと表面近傍の溶融金属は表面近傍を移動し、液滴内部の金属は最下端で表面へと流れる対流が盛んに生じています。高温の溶融金属が下方から上方へ移動し温度を均一にする力は作用していますが、実際には下半球より上半球表面温度は低くなっています。これは暗く撮影されている理由にどの程度寄与しているのかは現時点では分かりません。全体の状況を眺めれば周囲のアークからの反射光が、液滴の明るさに大きく影響していることは確かです。しかし、(14−15)の液滴表面輝度の相違を見ると明るさには液滴自体の温度の方が大きく寄与しているように感じます。
 下図は中心軸上の画素の輝度値を時間軸方向に並べて表示した図です。輝度の最も高い青色は輝度の差がはっきりとは認識できないために青と赤とを入れ替えて表示しています。この色調の方が、高温の対象であるアークと液滴の現象を考慮する上でもよいだろうと感じています。液滴の離脱や飛行速度の状況などの時間的な挙動を大まかに把握できます。上に示した各時刻ごとの画像を横に並べた画像を圧縮した表示法になります。
 左側上の図は、1枚のビデオ画面の鉛直軸上の画素のうち最大輝度となる値をその水平軸の特徴量として採用し、液滴の飛行経路を算出するのに適しています。中央は平均値画像でアークの挙動を把握するのに適しています。右端上は液滴離脱のタイミングを決定するマーカです。離脱する瞬間を示すわけではありませんが、離脱サイクルを同定するのに便利です。画像の上の方の領域のみの平均値で、ある程度液滴が大きくなる領域以上の領域の平均値です。右端下図は上で示した映像と同じです。下側の図では水平線上の画素のうち最大輝度となる値をその鉛直軸の特徴量として採用しています。この処理により上の一コマ送りの映像を圧縮して全体的な時間的挙動を理解することができます。最大輝度を代表値に採用する場合には液滴などの他の要素に比べて輝度の高い要素の挙動を把握することに適しています。
 一方、右側の画像は一見不鮮明に見えます。こちらの画像は、各水平軸もしくは鉛直上画素の輝度の総和を正規化して表示しています。この平均化処理により輝度の高い液滴の影響が緩和され、相対的に輝度の低い背景のアークの時間的な挙動が観察できます。特徴量として最高輝度を選択すると、アークがほとんど存在しない電極ワイヤ先端領域ではワイヤ表面の輝度は強調されて表示されます。平均値を採用すると面積の小さいワイヤ表面の影響はほとんど目立たなくなります。
 GMA溶接のグロビュール移行では、液滴はほぼ周期的に離脱はしますが、実際には結構不規則に離脱します。その状況がこの左側の画像で直感的に把握出来ます。一方右側の平均化処理をした画像では、ワイヤ先端で液滴が成長している段階では、液滴より下のアーク輝度が低いのに対して、離脱して落下中には液滴より下方でアーク輝度が高くなる傾向が顕著なことが把握できます。
 離脱するタイミングと液滴成長度合いが関係しているかどうか、なんらかの定量的関係が存在するのかどうかを理解するのが、この節の主眼です。高速度ビデオの撮影は一瞬で終了しますが、撮影した結果を再生して時間的な挙動を目で追っていくのは非常に時間のかかる作業です。解析を効率的に実施することを主眼として、解析目的に応じて注目すべき挙動を一目で把握することを目的に、この図のような時間軸画像を作成しています。
 定量的解析のためには、まずこの領域の輝度分布について知っておく必要があり、その一例を右図に示します。
 赤青緑の各色についてピークが存在しているように見えます。実際には赤色と青色との液滴領域はほぼ飽和しており輝度値250以上に多く、液滴のほとんどの領域はこの図の輝度分布には現れていません。この図に表れているピークはアーク領域の輝度ピークになっています。緑色の輝度分布については輝度値128から192の間に小さなピークが認められます。この小さなピーク近辺が液滴の輝度に対応しています。縦軸の度数は全体個数の何パーセントに当たるのかを表示しています。図の中央に存在する赤と緑のピークはアーク領域の輝度です。右端の青色のピークも同じアーク領域の輝度によるものです。アークが存在しない背景領域は低輝度にピークを持ち、個数は最大となります。図表の縦軸を背景も含めて表示すると、肝心のアークや液滴の分布が分かりにくくなるため、意味のあまり高くない低輝度領域は表示していません。凸形状のアーク領域の度数の総和はアーク領域の面積に対応し、RGB各色でその総和はほぼ等しくなります。幅の広い赤と緑はピークが低く抑えられています。青色は存在する幅が小さいため、ピーク個数は多くなり、この図では表示していません。一般的な撮像素子(カメラ)では高輝度領域がハレーションを起こすのを防止するための処理をしており、結果的に分布幅が圧縮されています。
 右図に輝度の高いほうからの累積度数分布を示します。赤青黄色の各累積度数分布において液滴領域やアーク領域の占める面積は等しくなります。画像中に存在する液滴の大きさから類推してその面積に対応する累積度数に対応する各色の輝度が液滴と背景のアークとを区別する輝度と言うことになります。累積度数が約9%のところで各色共通に度数分布の変曲点が存在し、面積割合的に見ても個々の度数に対応する輝度が閾値と考えられます。それらの値は、赤192、青246、緑128となり、実際にこの閾値で処理をすると映像がどのように変化するのかを見た例が右に示す画像です。
 青色は全体的なカラー効果を発揮する上で重要な色ですが、青色単体ではあまり明瞭な画像としては感じられません。このため、アーク領域の大半を有効な輝度値として撮影されている青色を緑色に変換して表示しています。同時に上で選定した閾値の効果を明確にするために緑色を青色にする色変換を実施しています。赤系の色で表示されているのは実際の映像では青色の閾値以上の画素、緑色で表示されているのは青色の閾値以下の値の画素、青色で表示されているのは実際の映像の赤色の閾値以上の画素です。このような単純な閾値だけによる区別でも液滴はアークから分離されて良好に抽出できます。しかし、このような単純な閾値処理では、この節での対象とする液滴生成機構の解明に関する領域がアークと同じ緑色で表示されているように、本節で対象としているワイヤ先端領域を適切には抽出できず、液滴成長過程の解析を良好に実施するためには、ある程度の工夫が必要となります。
 右図はワイヤ先端領域での全ての画素に対して緑色の値と青色及び赤色との相関関係を調べた結果です。各色の間には非常に強い相関関係が存在していました。緑色と赤色の値に関しては、赤色が飽和するまでほぼ線形の相関関係になっています。
 緑色と青色との関係では、緑色92、青色230の輝度値まではほぼ直線の相関関係を示し、それ以上の値では青色の値の増加率は低くなっています。しかし、1対1の関係は持続しています。
 この高速度ビデオの解析に取組んだ最初に全画面の色との対応を計算し、最初の章で説明をしました。その図を右に再掲します。その時点では緑色の値106を境として、緑色の輝度が低い領域ではアークからの発光の影響を強く受け、右側の高輝度領域では液滴からの光による影響を強く受け、両者の分布が接近して重なっていると考察しました。ワイヤ先端領域では液滴領域の青い光の値はほぼ250以上となっていること及び液滴からの光が占める割合が9%程度と高いことから、2峰性の分布とは判別しづらいほど接近していることにより、単に傾きがなだらかになったものと考えています。
 どのように液滴形成状況を定量化するのかについて思案をめぐらし、度数分布などグラフを大量に作成しましたが、なかなか妙案は浮かびませんでした。実際に様々な手法を試行しても、なかなか思うような結果が得られませんでした。画像データの定量的解析では、手順ごとにデータを可視化して表示していかないと、解析プログラムの何が問題なのかを把握しにくいために、罫線結果をその都度可視化して、手順の良否を把握しておくことが大切です。輝度の度数分布を可視化して液滴解析の手順を考えることとし、下図を作成しました。

 液滴形成を計量する上で重要なワイヤ領域は、輝度値が最小でも0ではない値を保持していることがこの図で確認できました。輝度最大値画像では相当上までワイヤ領域が確認できます。しかし、これらのワイヤ先端領域は下部に存在するアークの光を一定程度反射して撮影された結果です。ワイヤが先細り形状を呈していることから、表面近傍の薄い層のみが溶融し、内部領域は溶融していないことは確実です。ワイヤ表面領域の温度分布を考えると、幅の広い領域より細い領域の方が内部を流れる電流によるジュール加熱により、ワイヤ自体の温度が急激に上昇していることは自明で、表面層の薄い溶融金属層の温度も高いはずです。ワイヤが連続的に溶けているため、ワイヤ表面の溶融金属は低温の上部から高温の下部へと連続的に移動していることは確かなのですが、表面張力の作用を考えると、上部の溶融金属が如何なる力で下方へと移動しているのかが分からなくなり、不思議に感じています。
 この疑問はさておき、明るい固体ワイヤ領域が先端に近づき、溶融領域に最接近する高さ(上から25画素)以下の領域で解析することにしました。また標準的な解析サイクルは、液滴がワイヤ先端から離脱し次に離脱するまでの周期として解析することにしました。ワイヤ離脱の瞬間を確定する方法として、ワイヤ直径(約10画素)範囲の輝度を合算し正規化した上で時間軸波形として表示した結果が下図です。この図から解析範囲の上端を決定することが出来ます。
 下の図は各フレームごとに水平方向に各画素を走査して最大値を求め、鉛直方向の重心を求めた結果を時刻暦図形として表示した結果の一例です。青色(Blue_all)の重心位置は時間的な変動がほとんどありません。これは、青色はほぼ輝度がオーバフローしているため、アーク領域が計算に占める寄与が大きいため、液滴が移動しても重心座標値は変動しないためです。赤色輝度値200以上及び輝度値240以上の重心は時間と共に大きく変動しています。これは赤色輝度値200以下にはアークの輝度値はほとんど液滴に比較して無視できる存在であり、重心の計算にはほとんど影響を与えないからです。同時にワイヤ先端から離脱した液滴の最高輝度は255以下であり液滴の重心を求めるのに有効に作用しているからです。
 一方、青色については200と240以上の輝度の画素の重心位置は時間的に変動していますが、赤色とはかなり異なった挙動となっています、これは、液滴領域の輝度は飽和しており、液滴が画面下方に移動しても255の値のままでアーク領域の輝度に埋没しているからです。私は従来から高速度ビデオ映像を定量的に解析する場合には、最高輝度を230から240程度に抑えて撮影しなさいと力説していました。その一つの理由は、見た目の画質の綺麗さにこだわって明るいところをオーバフローさせて撮影すると、ここで一例を示したように計算結果に支障をきたすからです。
 さて、下図の鉛直座標70画素付近で黒枠で囲った領域に注目してください。液滴の成長に伴い下降を続けていた重心位置がわずかに上方に移動しています。これは液滴がワイヤ先端から離脱し自由落下を開始した時点で、ワイヤ先端部の溶融領域は表面張力により上方に急速に移行します。この影響を受けて重心位置がわずか上方に遷移した結果です。この重心位置が若干上方に遷移した画面、もしくは、数枚前の画面が溶滴がワイヤ先端から離脱した瞬間なので、液滴が上下に分離した画面より一枚前の画面を測定開始画面に同定できます。
 鉛直座標50画素付近で重心位置が上方に遷移しているのは、ワイヤ先端の液滴が一定程度成長し、下方の自由落下中の液滴と二つの領域の影響を受けているからです。通常の画像処理では所定の閾値で二値化して、クラスタリング処理により各領域に番号を割り振る処理を実行して正確に各領域の重心や平均輝度を計算します。アーク溶接現象のように対象が比較的単純で輝度値そのものが大きな意味を持つ画像の特性を求める場合には、ここまでの節で説明してきたように、特に二値化しなくても面積や平均輝度などの重要な特徴量を算出できるため、私自身は特に必要な局面以外では二値化処理は行っていません。
 以上の予備的な検討の結果、赤色輝度値200以上の画素を検討すれば液滴の成長挙動と自由落下課程を計算できそうです。ここまで考えたところで、念のためにワイヤ先端で液滴が離脱している領域の輝度分布を調べると共に時間的な輝度値の変動の様子をプロットしてみました。右図に3原色の輝度分布を示します。赤色については輝度値197が変曲点に相当し、上で考察した輝度値200と一致しています。緑色については124が相当し、青色については249がアーク領域と液滴領域との境界(閾値)になっているようです。
 右図に高輝度側からの累積度数を示します。このワイヤ先端領域での輝度はワイヤから液滴が離脱して以後は明るく輝いています。離脱直後には液滴を保持していた表面張力が開放される影響でワイヤ先端部の液滴は上下に激しく震動します。このため、溶融領域が監視座標から消えたり現れたりするために輝度は変動します。また先端領域の液滴面積が大きくなるとこの領域の輝度が低下しているのは前述の通りです。液滴の下半球は周囲のアークの光を反射するために明るく撮影され、ワイヤ先端に保持されている時点での上半球ではアーク光の反射はほとんど寄与していないため暗く撮影されているのかと考えています。
 下図に測定したワイヤ先端領域の輝度が時間的にどのような変動をしているのかについて示します。青色は平均的に輝度が高すぎて飽和しているために、離脱の有無を視認する目的には使えないことが分かります。赤色は最高値が255で若干飽和している可能性はあります。しかし、より輝度の低い緑色の時間的変動を比較すると、輝度の飽和による影響はさほど大きくは無く、緑色より輝度の変動幅が大きいため、トリガとしては赤色が有効だと考えています。
 下図に上の図で用いた領域の輝度度数分布を掲示します。左(a)は全時刻の最大輝度のピーク値と平均値、中間(b)は全時刻輝度のうち最大から25%の度数のピーク値と平均値、右側(c)は最小値のピーク値と平均値を示しています。左の最大値の図を見ると青色は溶滴が成長している領域ほぼ全てで最大値が255になっており、最大輝度から25%の位置の輝度の多くも最大輝度255になっているため、溶滴の微細な挙動は解析できないことを示しています。赤色も液滴形成領域ほぼ全域での最大値が255になっていますが、上位25%の輝度255以下の分布では最大輝度になっている領域がかなりあるものの、緑色の分布とほぼ同一形状となっています。
 右に中位数(メディアン)の度数分布を示します。青色の場合にも全数の半数は最大輝度より低い輝度になっていることが分かります。溶滴形成領域はほぼ全時刻画像中に存在し、液滴が離脱して瞬間にワイヤ側に急速に移動します。ただ、離脱する位置はかなり変動します。右下の図は赤色の度数分布で、変数は、各領域での全事時刻の輝度分布において、最大値、上位25%の輝度、中位値、最小値をプロットしています。
 ワイヤ先端領域の内、溶滴が存在しない時点ではその近辺にはアークはほとんど存在せず、輝度は非常に低くなります。度数分布の内、最大値分布は一定値以上の輝度が得られていますが、これは全体の分布傾向に反した分布となることから、反射などの影響で高い値が得られているものと考えるのが妥当です。上位25%及び中位数の度数分布からワイヤ溶融領域の上限位置を画素155行の位置に設定しました。
 右図において溶滴が成長し始めるのは赤色一点鎖線で囲んだ領域になります。溶滴が離脱した瞬間のワイヤ先端領域は緑色で囲んだ範囲となります。緑色の度数分布は最小輝度の分布であり、溶滴が存在せず、その領域のアークの平均輝度を示します。この度数分布からもトリガとして赤色を用い、閾値を197に設定することが好ましいことが分かります。
 ここまでは、最初に取り組みを始めて検討してきた、ワイヤが上にある映像の座標系で検討してきた結果です。現時点では、画像を左方向に90度回転して、ワイヤ先端を左にしアークは右へ流れる座標系を選択して解析を実行しています。右図は前節で示したデータの一部で、この座標系では100画素付近より右の領域では完全に液滴がワイヤ先端から離脱して飛行することが分かっています。このため、画像解析の手順としては黒色一点鎖線の位置で、液滴があるかないかを調べ、あれば液滴が存在しない座標まで左に移動し(実際にはワイヤ先端方向へ移動)、そこからは液滴が無い場合と同じ手順で、左に移動して液滴が存在する画素を探し、その位置(j1)をチェックしておきます。次に左端から画素j1までの範囲で有意な値を最初に保持する画素(j0)と最大輝度となる画素(jmax)など液滴の特性値を調べることにし、各種プログラムを作成しました。
 しかし、予期しない計算結果が得られ、理由を調べてみました。図(b)に見られるようにワイヤ先端に接続された溶滴が最大限伸びる位置は推定どおりでした。しかし、その位置より短いところで多くの溶滴がワイヤ先端から離脱していたため、計算ミスをしていたことが判明しました。この巨大な溶滴は、実は内部の炭酸ガスが急膨張して巨大化したものと判明しました。グロビュール移行に特化してプログラムを開発していたことが理由で、初期の計算では溶滴体積は急激な変化はしないものとして考えていました。プログラムミスの二つ目の原因は、図(a)に見られるようにワイヤに接続している状態では、溶的のワイヤに接触している領域の輝度がかなり低い状態になり、離脱した瞬間には(c)に見られるように溶滴全体が明るくなることにもありました。
 

次ページ   2017.7.1作成 2017.7.23改定

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液滴領域計測手順

1)離脱サイクル計測
・ワイヤ幅相当画素(右画像の領域)の水平方向輝度和を取得し、ワイヤ先端座標と液滴成長中から離脱への状況を計測。
・上から下へと走査し、一定輝度Pa以上になった行がワイヤ上端
・液滴最低輝度Pbになった行が液滴最下端
・液滴長が急激減少した時点の画像で液滴離脱
2)各時刻の特徴量抽出
・液滴領域