1.デジタルカメラの基礎知識  1.6 カメラの感度

1.6 カメラの感度

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 「感度(Sensitivity)」とは、フィルムや撮像素子が、光の量に対してどのくらい敏感に反応するのかを示す指標で、「ISOスピード」と言う単位が用いられています。大まかには、薄曇り程度の日中(明るさは10^3〜10^4 ルクス lx)に、F8程度の絞りにした時の適切なシャッター速度の目安を数値化したのが始まりだといわれています。つまり、ISO 400なら1/400秒、ISO 100では1/100 秒が適当という関係です。数字が高いと感度が良く、その半面粒子が荒れる傾向となります。フィルムを用いた撮影では、暗い場所あるいはシャッター速度を速くしたい場合にはISO400をつかい、きれいに撮影したい場合には、ISO32を用いていました。
 右図に明るさの目安を示します。撮像素子を用いているデジカメでは、フィルム用のISO感度規定をそのまま用いることはできず、デジカメ用として、「標準出力感度(SOS)」と「推奨露光指数(REI)」の2つが定義されています。
 標準出力感度は、撮影した画像の明るさが所定の基準値に写るように規定された感度です。測定方法は、グレースケールチャートなど適当な被写体を撮影し、着目する部分の出力レベル(画像の明るさ)が8ビット画像の場合118になるよう露出を合わせ、そのときの像面露光量(撮像素子に入った光量)を、被写体輝度と露出値から算出した感度です。(デジタルカメラの入出力特性をsRGBの逆特性と仮定すると、18%反射率をもつ被写体に対応する出力が8ビット系では118になることから、この118を感度測定における基準出力レベルとしています)
 推奨露光指数は、カメラメーカーが露出や画作りの要素を考慮し、適正露出だと判断する露出量をISO感度の数値で表現したもので、メーカーが使用を勧める実用感度を表す指標です。フィルムでは印画紙に焼き付けて写真として完成しますが、印画紙の方にも柔らかい−硬いという違い(種類)があり、微妙な明るさの違いをきちんと表現したい場合には1−2号の柔らかい印画紙を用い、図面のように白黒をくっきりと焼き付けたい場合には3−4号の硬い印画紙を用いるという区分けがあります。
 デジカメの場合には、ほとんどの映像はモニタに出力されるため、sRGBのようなデータセットとの対応が重要となります。
 適正露出は、被写体の特長や見る人の好みに大きく影響されるため、デジカメの感度には、客観的基準としての「標準出力感度(SOS)」と、メーカ各社の方針に沿った表現ができる「推奨露光指数(REI)」の二つが存在し、カタログなどの表記には、この2種の感度のうち少なくとも一つが記載されています。どちらの感度表記も、フィルム感度との整合性を考慮したものになっています。
 「標準出力感度」は、信号処理も含めたデジカメの光感特性に基づいて統一された測定方法により物理量を数値化しており、メーカーに依存しないよう標準化され、ISO100のように表示されています。感度範囲はISO100相当からISO1600相当まで2倍刻みの5段階に設定できるカメラが多く、絞りやシャッター速度と同じ感覚で調整できます。
 明るさが均一な蛍光盤を被写体として、絞りと露光時間(シャッター速度)を変えて、データの明るさを測定した例を右図、対数で表示しています。ほぼ露出時間と明るさは比例しますが、明るい領域は頭打ちになっていて、人間の感性にあった表示となっていいるため、完全な比例関係ではありません。
 右の表はCCDとCMOSの10年前の特性を比較した結果です。感度に関して、当時はCCDの方が極めてよかったのですが、この10年間の技術進歩で、CMOSの感度は非常に良くなり、CCDに劣りません。ノイズに関しても、大きかったのですが、現時点での優劣はありません。大量生産の汎用品としての特性が極めて優れていることから、非常に広い応用範囲で利用されている。特に撮像素子と画像処理回路とが同じチップに作成可能なため、さまざまな環境で、瞬時に判断をしなくてはいけない、自動車の眼として応用されたことにより、画像認識技術も非常に発展しています。

次ページ   2014.10.10作成 2017.1.22改定

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写真の色合い

・高速度カラーカメラを計測に使うばあいには、色情報に関する理解が必要です 。

・小通常のカラーカメラは撮影した結果が人間の色に関する感覚に合致するように色変換をしています。撮影環境により色温度を調整し、屋内で撮影した写真でも屋外で撮影した写真と同じような色になるように自動的に調節します。

・極端に明るい部分は飽和させて、あまり光強度の差が撮影された映像に影響しないように調整されています。空がきれいに映えるとか人の肌が自然に写るなどの、人が感じる美しさを協調するように各カメラメーカーは工夫を尽くしています。

・色調をどのように変換しているかは、各カメラメーカーの極秘のノウハウで、一般には公表されていません。このため、カラーカメラの色情報から温度を測定する場合には、予め厳格に温度校正をしておくことが重要です。