1.デジタルカメラの基礎知識  1.7 フィルタの効果

1.7 フィルタの効果

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 絞り、シャッター速度、ISO感度により、撮影条件が決まります。非常に明るい時には、ND(Nuetral Density)フィルタを用いて撮像素子に入る光量を調整します。このフィルタは色情報は変化させずに明るさだけが変化します。標準的にはND2, 4, 8, 400の4種類の濃度のフィルタが存在し、透過する光の強さを1/2, 1/4, 1/8, 1/400倍にします。8から400まで飛んでいますが、2,4,8の組合せでこの間の減衰率を適当に選定することができます。また、画面中央のフィルタはND4-halfと言い、画面の半分のみを1/4に減光します。これらのフィルタはカメラレンズの先端に切ってあるねじ溝に埋め込んで使用します。レンズによりレンズ先端の大きさは違いますが、その大きさごとに各種のフィルタが用意されています。また、若干の口径の違いでしたら、ステップアップ/ダウンリングが準備されていて、異なる口径のフィルタを接続できるようになっています。
 紫外線や赤外線を透過させないフィルタや蛍光灯の下の映像を自然な色にするためのフィルタなど各種のフィルタが用意されており、撮影目的に応じて適切なフィルタを用いることができます。
 アーク現象の撮影では、用いるシールドガスの種類に応じて適切な干渉フィルタなどを選定することが重要となります。下図にフィルタにより映像がどのように変化するのかを示します。アークの中では多くの元素が電離と再結合を繰り返し、主にイオンと電子が再結合する過程でガス種により固有の波長の光が放出されます。部位により異なる波長の光が放出されるため、特定の波長のみ透過、あるいは吸収させることにより、アークの状態を診断することもできます。詳細については、分光特性の項で紹介しますが、ここではカラー映像とそれをRGB分解した映像、及び、典型的な干渉フィルタを用いて撮影した例を示しています。

次ページ   2014.10.10作成 2017.1.22改定

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赤外線のカット

・カメラの撮像素子は、近紫外線領域と近赤外線領域に人間より感度が高い阻止が一般的です。このため、レンズの保護も含めて紫外線をカットするフィルタを装着して使用することが一般的です。

・近赤外線に関しては、撮像阻止の前面に予め赤外線カットフィルターを貼り付けてある機種が一般的です。高速度カメラに関しては、赤外線カットフィルターは装着されていません

・溶接現象の撮影の場合には、近赤外カットフィルタを取り外したほうが、溶融池などの撮影に都合のよいことが多く、取り外し可能な場合には近赤外カットフィルタを取り外して撮影しています。