4. 表色系  4.5 色差

4.5 色差

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 多くの産業にとって製品の色は非常に重要な問題で、オリジナルや標準色と同じに見える製品(顧客の品質要求事項を満たす製品)を供給する必要があります。 実際には、同一製品をすべて同じ色に合わせるのは難しく、部位もしくは製品ごとにある程度の色の違いは発生します。さらに人の色の認知が非常に主観的であることも分かっています。製品を見るときの照明条件の差による受け取り方の差が大きいことも問題です。したがって、供給者と需要者との双方が受け入れられる最大の色差の許容差を物理的に規定する測色が重要となります。具体的には、工業規格等で決められている標準光源の下で、製品を測色器などにより観測して記録・測定を行い公正な評価をすることになります。
 さて、評価の尺度あるいは許容差として何を基準にするのかが問題で、現在では色差が用いられています。色差を有効な尺度とするためには、色空間上での距離・間隔が色の物理的な差異よりも知覚的な色の距離・間隔に類似するよう設計された均等色空間が必要となります。人間の知覚上での差異に主眼を置いた色空間を標準化することにより、工業製品の色彩管理が行われています。
 実際生活での問題点は、人の官能が、明るいもの暗いものあるいは鮮やかなものとくすんだものに対して、容易に基準がぶれてしまうところにあります。具体的には、物理的に色を測定して差を識別したとしても、対象とする色に対して許容範囲が異なると言う問題です。これを解消するために色合いに応じて適切な許容差を判別するための色空間での距離を補正する努力が続けられています。

LAB表色系
 明るさ(Lightness)(L軸)と色度の2軸として心理的な四原色の赤〜緑(a軸)と、黄〜青(b軸)を用い、これら三つの軸が立体的に直交する色空間を、ハンターが考案しました。その後、CIEが修正を加え、L*a*b*(エルスター、エースター、ビースター)表色系ができ上がりました。LAB表色系は心理四原色からスタートし、波長を基礎にはおいていません。このため、色度図の上に波長が示されません。この表色系は、感覚的に理解しやすく、塗装や染色業界など表面色の管理によく利用され、JISにも制定されています。 L*の値はL*u*v*系のL*と同じです。
 色度図は、a*軸とb*軸が直交し、直交点は無彩色点です。
 a*軸の+側(プラス側、直交点の右)は赤領域、−側(マイナス側、直交点の左)は緑領域です。
 b*軸の+側(プラス側、直交点より上)は黄領域、−側(マイナス側、直交点の下)は青領域です。
 直交点には平面と直交するL*軸がありますから、色立体を想像することができます。
 視覚的にも非常にわかりやすく、数値を見ただけでもおよその色が推定できる表色系になっています。 これらのL*a*b*値も、XYZ系による測色値から換算できるようになっています。 多くの場合、CIELABカラーシステムと色差はここで使用されます。
 DE*はトータルな色差を指し、それは、色相の違い(DC*:より鮮やかか、より無味乾燥な)、:彩度の違い(DH*:より緑色か、より黄色か、より青色か、より赤色か)、明度の違いDL*(より明るいか、より暗い)。色差は彩度、DC*の違いで作られます。 また、トータルな色差は、 DL*、 a*、Da*、とb*、Db*の光の違いによっても成立します。

次ページ   2014.10.10作成 2017.1.24改定

小川技研サイト
色度chromaticity

・目で感じる色は明るさと色の性質とによって決まります。明るさを無視した色の性質を色度と呼びます。

・色度を表わす方法はいくつかありますが、一般的には主波長と純度との組合せ、またはその色に含まれる三原色の割合によって表わされます。

・3原色(RGB)の色光の強さをそのまま使えば、 一つの色を表すのに3つの数値が必要になります。しかし、RGB全部の光の強さの和を1としてRとGの光の相対比を使えば、残りのBの相対比は自動的に決まり、2つの数値で色を決めることができます。