4.7 RGBとYUV
光の三原色(R,G,B)を用いて表現する方法は、人間の色を認識する器官であるL,M,SS錐体にほぼ対応していることから感覚的に受け入れやすいこと、および、モニタなどで色を表現するのに便利であることなどの特長から良く利用されています。一方、標準化など工業製品を規格どおりに作成するという立場からは、明暗対比や色対比を再現性良く基準化することが重要であり、マンセル表色系などが提案され、RGB空間から厳格に色を定義できるYUV(Y: 明るさ(value), U:色相(hue) , V:彩度(chroma))空間などに変換して扱われるようになっています。画像でYUV表色系が良く用いられるのは、次節で紹介する別な理由もあります。
さて、アーク現象の撮影ですが、高速度ビデオを用いて撮影する場合にはRGBのデータセットとして与えられます。原則は動画ですから主にaviとかmpgファイルで記録されますが、本来のデータとしては1ピクセルごとに(R,G,B)の輝度を示す三つの8ビット符号無し整数(8-bit unsigned integers、0から255まで)のセットとして記録されており、各原色の明度を256通りに表示できます。ただし実際の物理的な表示装置(モニタ)上では、256段階の数字は等間隔の輝度にはなっていません。
コンピュータのビデオメモリ(各ピクセル)に,RGB各8ビット、計24ビットを割り振る事で、256x256x256=1677万7216色の表示ができます。図はRGBを3次元の軸として構成した立方体の色空間表面を展開したイメージで、この立方体の中には1677万7216色が詰まっています。これは普通の人の目で識別可能な限界とされ、フルカラーやトゥルーカラーなどと呼ばれています。しかし24bitでは画像編集過程での劣化が無視できず、48ビット(各色16ビット)など、より多いビット数で扱うこともあります。
カラーモニタの発色にはRGBを使いますが、RGBの信号を送るのには3本のケーブルが必要となります。ビデオ信号の送受信には通常RCAやBNCおよびS端子と呼ばれる3種類のケーブルが使われています。RCAとBNCは中心の信号線の周囲を網目状の接地線が包む形状の同軸ケーブルが用いられ、接続部が単に差し込むだけかあるいはロックをかけるかの差があります。
テレビ画像は細い水平走査線を縦に並べた構造を持っており、画像データと構造的には同じですが、モニタ上の各点を水平方向に走査し、1本の線を捜査した後に上の線を操作するという手順をとります。白黒画像の場合には、信号には輝度(Y)のみが含まれればよいのですが、カラー映像の場合にはこの信号にカラー信号(C)が追加される必要があります。カラーテレビが色表現を採用する場合、「白黒受像機でカラー電波を受信でき、再生できなくてはならない」という条件を満足させる必要がありました。従って、色空間の要素のうち一個は輝度情報である必要がありました。YIQのYは輝度そのものですから、モノクロ用の送信情報と一致しており、好都合でした。 色情報であるIとQは、Yに重ね合わせて送信されることになりました。一つの輝度信号(Y)にカラー信号(C)を付け加えるために、偶数番目水平走査線(Yo)にカラー信号を足し、奇数番目水平走査線(Ye)からカラー信号を引くという操作をしています。
Ye=Y−C, Yo=Y+C
受信後には逆の操作をしてYとCを分離します。
Y=(Ye+Yo/2),C=(Yo−Ye)/22
テレビ放送電波は画像をこの YIQ表色系で送信しています。YIQは、NTSC(National Television Standard Committee) が用いている表色系であり、Y(輝度)I(オレンジ-シアン)Q(緑-マゼンダ) の三要素からなり、RGBとの関係は次式で与えられます。
Y = 0.299 R + 0.587 G + 0.114 B
I = 0.596 R - 0.275 G - 0.321 B
Q = 0.212 R - 0.528 G + 0.311 B
この色空間は、人間の視覚特性に近い特徴をもっています。人間の目はY(輝度)の刺激に特に敏感であるため、Yの情報を特に広い帯域で送信します。反対に人間の視覚特性は色に鈍感であるため、IとQを間引いて狭い帯域で送信してもあまり違和感を持ちません。
モノクロ受信機には、隣り合う水平走査線上に交互に逆の凹凸が含まれますが、隣あう2本の水平走査線の輝度や色差はほとんど等しいという仮定を最大限に利用していますので、見た目にはほとんどわかりません。しかしながら、急激に輝度が変化する場合は誤差が大きくなります。カラーテレビに白黒の細い縦ストライプの服を着た人が映ると、YC分離時の誤差のため,ちらちらしたり赤や緑の干渉縞が見えます。
YUVはYIQとほぼ同じ構造となっています。Yの値は同一で、U,V の座標軸がI,Qと少し異なるだけです。 JPEGやMPEGの内部情報ではこのYUVを利用しています。
光学的な輝度(Luminance)とは、平面状の光源がある方向に単位立体角あたりに放射する光の光源における単位面積あたりの明るさのことをいい、単位は(cd/m2)です。一方、画像や動画像分野において用いている輝度は、YUV系の色空間における色を表現する3つの成分の一つで、明るさそのもの(光学的な輝度)とは少し意味合いが異なります。他の二つの成分は色差と呼ばれています。
テレビ映像の信号には水平線の走査開始を知らせる水平同期信号と1画面全体の走査開始を知らせる垂直同期信号が合成されており、これをコンポジット映像信号と言います。コンポジット映像信号では、映像を構成する情報(輝度、色差、同期)が一つの伝送信号に重畳されています。アナログ放送ではこれを周波数変調(FM)することで、各家庭に電波として送信されています。テレビに用いられるコンポジット信号には、NTSC、PAL、SECAMの3方式があり、日本ではNTSCが用いられていました。現在は完全にデジタル化されており、NTSCは昔話になっていますが、現役で使用されているシステムがまだ現存しており、修理用のビデオカメラなどの確保が問題になっています。
コンポジット信号は、輝度信号の周波数特性が櫛形になる性質を利用して、その隙間に色信号を重畳しています。このため、カラーモニタの表示や映像合成処理に必要なコンポーネント信号に変換する際に、一度重畳した各成分を完全に分離することが難しく、残留成分がノイズとなってしまう欠点があります。 また、コンポジット信号を用いると、機器構成は単純になるものの、用いる機器によっては変換と逆変換の相互変換が必要になり、画質の低下を招く恐れがあります。家庭用の映像機器では、NTSCやPAL映像信号から色信号を分離して別々に伝送するS映像信号を用いて接続するものもあります。S端子のSはセパレート(Separate)の略で、NTSCなどのコンポジット映像信号を、輝度信号(同期信号も重畳)と色信号の2系統に分離して伝送することからこのように呼ばれています。
家庭用ビデオテープレコーダなどのコンポジット映像信号の混合方式では、記録・再生の過程で信号の分離と合成を繰り返し、信号の劣化が進んだ状態で表示されます。S端子で接続する場合にはその劣化が少なく、より良好な画質での視聴が可能となります。色信号は本格的なコンポーネント映像信号のようにCb/Crなどに分離したものではなく、両者を直交変調した形態であり、NTSC規格の色副搬送波と同等であるため、単にYとCを混合することでコンポジット信号が得られます。Y/C分離のYはYxy表色系で明るさをあらわすYから、またCはギリシャ語で色彩をあらわすChromaから採られたと言われています。
MPEG(MPEG−1,MPEG−2,MPEG−4)などのデジタル映像へ圧縮(高効率符号化)を行う際には、テレビ映像を構成する輝度信号、同期信号、色信号をそれぞれ分解したコンポーネント信号に変換するため、コンポジット方式はデジタルビデオ機器とは相性は良くありません。しかしアナログテレビ放送の方式であることから、テレビやビデオ機器にはアナログコンポジット信号に対応した入出力端子が標準的に備わっており、広く使われました。
三原色に対応したRGBを成分とするコンポーネント方式は、全ての色成分に対して同等の処理を行うため最高の画質が処理できます。しかし、情報量が多いことから処理量・記録容量を多く必要とします。このためテレビ放送やビデオパッケージにおいては、伝送・記録の効率化を目的として、「明るさに較べて色に対する分解能が低い」という人間の目の特性を利用して、色成分の情報削減を行う色差方式が広く用いられています。(R,G,B)から(Y,U,V)「輝度(Y)と色差(Cb,Cr) 」への返還とその逆変換式は以下の式で与えられます。
RGBからYUVへの変換
Y = 0.299R + 0.587G + 0.114B
Cb= 0.564(B−Y)
=−0.169R−0.331G+0.500B
U = Cb+128
Cr=0.713(R−Y)
=0.500R−0.419G−0.081B
V =Cr+128
YUVからRGBへの変換
Cb=U−128
Cr=V−128
R =1.000Y+1.402C
G =1.000Y−0.344Cb−0.714Cr
B =1.000Y+1.772Cb
このような変換式に用いる係数をカラーマトリクスといい、いくつかの方式があります。CrとCbとは負の数値を含みますので、正の数値に変換したUとVとが用いられます。以上説明してきた、明度、彩度、色相の大まかな関係を右に図示しておきます。
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