4.6 モニタRGBとCIERGB
RGBは実在する色を使い直感的で便利なため、XYZ系の採用にも関わらず、プリンタ、スキャナ、デジタルカメラ、パソコン画面の色管理などに使われ、色再現国際規格「sRGB」として規定されています。モニタRGBの場合、三原色のRGBはそれぞれ「0〜255」で規定されており、R=255 B=0 G=0 とすれば、モニタ上に赤の純色がでます。RGBのすべてを255にすれば画面は真っ白に光り、すべてを0にすれば画面の発色は消え、黒に見えます。
一方、CIERGB値は、実際の可視スペクトルの光のうちから特定の波長光を3つ選んでRGBそれぞれの色の代表にしています。 Rは700nm、Gは546.3nm、Bは435.8nmの波長の単色光です。光の3原色であるRGBで色を表現している場合、理論的には全てが0パーセントの時に黒、全てが100パーセントの時に白になりますが、実際の色は画像を表示・印字するデバイスの特性により決まってしまいます。この場合には、表示の直前で各基本色の強さを調整して「白は白で表示する」ように補正をかける必要があります。この補正操作のことを「ガンマ補正」といいます。さらに、表示デバイスなどは一般的に、色の強さの再現に直線性はなく、デバイスの特性とディスプレイなどが設置されている環境に依存するため、デバイスを完全に補正することは困難です。
このため、表示上の色の再現性が重要な場合には、各基本色に対してデータ上の色の強さをデバイス上の色の強さに変換するための表を用意します。これはデータ値と表示光量の相関を示した曲線グラフとして示されることが多いために、このパラメータを「ガンマグラフ」と呼ぶことがあります。
スキャナで写真をデジタルデータ化し、プリンタでそれを印刷する際などには、スキャナとプリンタそれぞれのガンマ特性を考慮してガンマ補正を行なわないと、元の写真と同じ色を再現できません。このため、画像データの中にスキャナなどのガンマ特性を付加情報として保存しておくということが行なわれ、画像データに色再現のための情報を付加することを「カラープロファイリング(color profiling)」と呼びます。プロファイリングを正確に行うには、基準となる撮影対象が必要になります。まず、カメラのホワイトバランスと撮影対象のライティングを厳密に正確にしておいて、その次に上図に表示したような撮影データの色と明るさなどの代表的な基準であるGretag Macbeth Color Checkerをカメラで撮影し、カメラで撮影された3原色の輝度と本来の色との対応関係を明らかにします。
このように、デバイスによる色の違いを補正する手法をカラーマネジメントということもあります。(1)ディスプレイやプリンタなどのデバイスの違い、(2)インクや蛍光体の違い、(3)色再現域の違い、(4)色域変換など各種の過程で色合いが微妙に異なってしまいますが、個々の過程での標準とのずれを正確に把握し、カラーモデルの全領域を色再現域に性格に対応させるための変換に欠かせないのが、カラープロファイリングあるいはカラーマネジメントです。
次ページ 2014.10.10作成 2017.1.24改定