7.6 フェーズ1最終組立て工事時の公開実験状況
メガフロートの公開実験日に撮影した画像をまとめて紹介します。ユニットをタグボートで設置場所近傍に引き寄せて、最後の固着はロープで引き寄せて固着します。浮体が所定の位置に引き寄せられるように各種のジグを工夫しているのが眼につきました。固定した後仮止めして固着し、本溶接を実施しています。
右上図の右端部分の小さな浮体が引き寄せ作業用のウィンチを搭載した浮体です。右写真の左端にも写っています。
右の写真は公開直前の全景で、中央上部に示した赤線矢印の部分で湿式水中溶接のデモンストレーションを兼ねた水中溶接を実施しました。
大きさの異なる浮体ユニットを接合する場合、以下のような問題が発生します。設置海域に設置されている浮体は相対的に大きく、また、係留されていることから、このユニットの動揺はある程度押さえられています。一方、新たに取り付ける浮体は相対的に小さいことから波浪による動揺の影響があります。また、両者の固有振動数とそのモードは異なり、相対的な運動が残ります。
右の写真は引き寄せウィンチを搭載した浮体を、固着させたい浮体に、固定している状況の写真です。
溶接は、双方の部材に相対的な運動がある場合には、実施できません。このため、双方が動かないように順を追って固定していきます。最初は、ロープによる緊縮。次にペリカン治具などの固定具を用いて相対運動を止めます。また、隙間が出来たり、高さの食い違いなどが出ますが、油圧機器などを用いてこの食い違いを修正し、多数のストロングバックを仮止め溶接して、双方を固着します。
右の写真は、浮体をゆっくりと引き寄せ所定の位置に接続し、固着に至る過程を撮影したものです。上から時系列で撮影しています。下側3枚の写真中央部に写っている斜め上方に突き出た角管が、ペリカンジグと呼称される位置決めジグです。右下の写真右上にペリカンジグを近接撮影しています。写真対角線上に見えている筋が両浮体の接触している領域です。
右の写真の中2枚の絵のペリカンジグに対応して、向かい側の浮体部分に、角管が設置されている状況が写っています。この引き寄せられる浮体の角管が、ペリカンジグの角管に接触し、引き寄せられる過程でペリカンジグの水平部分に引き込まれて、完全に引き寄せられた時点で、双方の浮体上部甲板が同じ水準になります。
上の写真の左側2枚は、双方の固体を引き寄せて、上下位置を同一水準にするためのジグの一例です。ぱっと見た目に問題なく固着できていますが、実際には各部を強力に固着すると、どこか弱いところに歪が集中してしまいます。接合箇所全長をくまなく検査していくと、右の写真のように隙間や上下方向の食い違いができる箇所も出現します。このような箇所を溶接が可能なように修正する手段が必要となります。
また、双方の浮体の接触部分はぴったりとついた状態になっていて、そのままでは溶接施工ができません。双方の部材の間に、溶接金属をうまく溶着していくためには、V型の開先を作成する必要があります。
このページの映像は、共同研究相手であるメガフロート技術研究組合の人たちと溶接必要箇所がどのような状況にあるのかをチェックしていき、溶接施工作業を実施する上で気になった部分を撮影した記録写真の一部です。
次ページ 2016.03.12作成 2016.04.18改定