7.9 メガフロートの圧気溶接
圧気溶接とはメガフロートで実施した、ハイパーバリック(Hyperbalic)溶接法のことです。作業したい区画全体を海表面に空気が漏れないようにシールして、送風機から内部に空気を送り込みます。この圧力で、浮体溶接区画から水面を底部にまで押し下げて、溶接区画から水を排除します。甲板に予圧室を設置して、作業区間への出入りをします。内部は船底の開口部の水圧相当の圧力になります。この方法は住友重機械工業が中心となり技術的検討を行いました。メガフロート建造の時点では、経済性の観点から洋上接合に最も適した方法と考えられ、実際の溶接作業の多くはこの方式を用いました。
甲板上に設置した送風機で溶接実施区画に空気を供給し、その区画から海水を下部に排水します。溶接箇所の下部空間には、波などによる変動圧力で溶接部に海水が浸入しないように排水のための防護壁を設置します。溶接区画への出入りは、上甲板に設置した与圧室を使用します。上部甲板の溶接線を事前に溶接し、内部を機密構造にしておきます。写真には上部甲板の概況が写っています。このように簡単な装置で水面下の溶接箇所から海水を排除します。
フェーズ1の接合工事の段階では、構造精度など不明確な点が多々あったために、下側の水中溶接工事部分は、一定程度の間隔があくように建造され、接合海域で実際の溶接作業の直前に溶接用の部材を、両方の浮体底面に取り付けた裏当材の上に配置し、両側を溶接する方式を採用しました。溶接線長は2倍にはなりますが、最初の試みとしての安全性を考慮してこの方式を採用しています。
このページの映像は、共同研究相手であるメガフロート技術研究組合の人たちと、溶接施工作業上気になる部分をチェックしていきながら撮影した写真です。
次ページ 2016.03.12作成 2016.04.18改定