7.2 海洋構造物の様式
沖合いに飛行場を建設するのにはいろいろな方法が考えられます。
土木作業で一般的に用いられているのが、外壁を最初に建造して内部から海水を排除した後、近隣の丘陵などから土砂を運んで埋め立てる、埋立工法です。都市ごみや産業廃棄物の廃棄を兼ねた埋め立てなども含めると、非常に多くの経験があります。
しかし、埋め立てに適した場所は少なくなっています。また、埋め立て工事に時間がかかり経費も高いこと、大量の土砂を埋め立てるために、もともとの海底面には大きな重力が掛かり、シルトが多いなど軟弱な改定地盤のあるところでは、時間の経過と共に地盤が不等沈下する危険性があります。実際に羽田空港や関西空港などでは、沈下に対する対処工事を適宜実施しています。空港内部では不等沈下があるなどとは夢にも思いませんが、外部に出て非常用階段などを見ると、対処工事があることに気づく場合もあります。
また、地震などの時に埋立地の一部が流動化する危険性があります。砂状かは、昨今多発している大地震で、良く眼にする光景です。そのほかには、周辺の環境に大きな影響を与えることなどの問題点が指摘されています。しかし、日本人にとって重要な財産の一つである、土地と言う有形の財産を新たに作り出すという点で、最も指示される工法となっています。
着底工法は、工場で製作されたケーソンなどの構造物を予定海域外周に順次設置し、巨大な陸地を建造する方法です。海底の基礎工事に時間と経費がかかることと、適用できる水深が限られるという問題があります。
桟橋方式は海底に鋼管杭を打ち込み、海上部分に突き出た杭に上部構造物を載せていく工法です。この場合には、波浪により上部構造が損傷を受けないように、上部構造を設置する高さは、海表面から相当高くしなければなりません。羽田空港の滑走路の一部はこの方式で運用されています
浮体方式は短期間で完成でき経済性や環境にやさしいという指摘はあるものの、風や潮流により吹き流されやすいこと、長周期の波浪による疲労の蓄積、あるいは潮の干満により滑走路面の絶対的な高さが変動するなどの問題があります。
浮体方式にはポンツーン(箱)型とセミサブ(半潜水)型の2種類がありますが、メガフロート技術研究組合では、構造的に単純なポンツーン型の研究を実施しました。
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