3.水中切断技術の開発の歴史

3.6 その他切断切断開発の歴史

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 光ビームを溶接や切断に利用しようという試みは非常に古くから行われてきました。開発当初は、エネルギ密度が低く、高価であったために、利用には限界がありました。1960年にマイマン(Maiman)が固体ルビーを用いたレーザを開発した後、急速に各種のレーザが開発されました。レーザは周波数と位相とがそろった、コヒーレントな光であるために、非常に小さく集束することができ、高いエネルギ密度が得られます。現在では大容量連続発振の装置が実用化され、光ファイバーの能力も向上しており、溶接・切断作業へも良く利用されるようになっています。原子炉炉内構造物の切断など、水中での加工への応用も多く試みられていいます。
 近年注目されている水中切断技術として、ウォータジェット切断法とワイヤソーがあります。ウォータジェット切断技術は高速度で小径のウォータジェットを加工物に噴射して切断を行う技術であり、軟質材料に対しては水だけで切断し、金属材料などにはウォータジェットに研磨材を混入して切断を行います。
 1945年に米空軍のB29爆撃機が雨中を高速度飛行した時にレーダドーム(FRP製)が損傷した事件を契機として、研究が開始されました。1970年頃には多くの実用機が開発され、掘削作業や木材・布地などの切断に用いられるようになりました。切断にガスなどの圧縮性流体を利用する場合には、水深により反応状態が変化します。しかし、非圧縮性の水を用いるウォータジェット切断では、水深により水圧が増加しても作動流体としての水の圧力も増加するために、相対圧力さえ確保しておけば切断条件は変化しないという特徴があります。不発爆弾の信管などを切断すると言う、特殊な軍事的使用の例もたくさんあります。
 陸上で使用されている機械式の切断技術を、水中切断に適用する試みも多く行われています。空気圧や水圧を利用した各種の機械式切断機が、水中で利用されています。切断機構そのものは陸上で用いられている機構をほぼそのまま用いており、水中作業のために特に考慮されている点は腐食防止です。最近注目されている技術の一つにダイヤモンドの粒子をワイヤソウの刃先に用いた切断手法があります。スラグなどの二次廃棄物の発生量が少ないことから、原子力施設の解体に積極的に適用されるようになっています。
 爆発切断(発破)は、その操作性と切断速度の速さが特徴です。1950年代になり、成型爆薬を用いる制御爆発切断法が多く用いられるようになりました。この方法は爆薬を用いて金属粒子を(6000-9000m/s)の高速度で加工物に集中的に噴射し、その衝撃圧力(ノイマン効果)を利用して加工物を切断する方法です。精密な切断も可能なことから、水中サルベージ作業だけでなく、ビルの解体や海洋構造物の解体などにも多く利用されています。日本でも、1994年に阿賀沖のプラットフォームが、主に爆発切断により解体撤去されました。

次ページ(4 ガス切断)   2013.11.25作成 2016.8.17改定